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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

【特集:宇都宮LRT】下野新聞「LRTを問う」第7回について

【第7回の概要】2012年11月2日(金)掲載

■連合栃木の主張

 連載第7回は、「連合栃木」(民主党栃木県連の支持母体)の小林英樹副事務局長へのインタビュー。

 連合栃木は「LRT反対」を栃木県に申し入れたが、その理由について「宇都宮のバス利用者は1日20,000人なので、LRTを導入してもペイしない。運営はどうせ赤字続きになるはずで、行政の財政負担が必至となる。LRTは採算度外視で公共事業をやるのが目的としか思えない」と説明。
 さらに「LRTは朝夕は通勤で利用しても、日中はガラガラになるだろう。宇都宮は日光のように市電が走っていなかったから、初期投資は400億では済まなくなる。LRTそのものは悪くないが宇都宮には合わない」……のだそうだ。


▲ フランス・グルノーブルのLRT。フランスでは「移動の自由」が基本的人権の一つと考えられていて、公共交通は公的に下支えするという考え方が広く定着しています。日本もその方向にシフトすべきで、従来のような目先の採算性に固執すべきではありません。

 下野新聞から、LRTよりもBRTの方が優れているのかという問いには、「連合栃木としては具体的にBRTが良いと言及してはいないが、LRTよりは優れていると考えていて、バスなど既存の公共交通を活用し、バスを核にしてタクシーや自転車と結びつければよいと考えている」とのこと。
 LRTは「乗り換えが必要で、高齢者向きではない」とも考えているそうだ。

 既存の路線バスが行政から多大な補助を受けている点について連合栃木は、「赤字だから廃止では市民生活に影響が出るから一定程度必要だ。LRTは新規投資で赤字だから大問題で、今の路線バスとは違う」と話す。

連合栃木が指示する民主党県連もLRT反対なのに、候補を擁立できなかったことについては、「結果的にLRTを対立軸にできなかったが、いよいよ導入に向け動き出したら住民投票という手もある」とのこと。


【第7回の記事内容について思うこと】

 11月1日(金)に行われた市長選立候補予定者による公開討論会で、新人候補が「LRTの初期投資400億」(市が公表しているのは約380億円)と発言していたのですが、どうやらこの数字は連合栃木が出所のようです。
 また、国の支援が抜本的に拡充しているのを考慮していない点や、導入による波及効果を考慮していない点、「住民投票という手もある」と言及している点も、連合栃木の主張と合致します。

 連合栃木も民主党栃木県連も独自候補を擁立しなかったわけですから、後になってこういうことを発言するのはどうかな、と思うわけなんですが……。
 (市長選で市の方針を決めるわけですから、それこそが住民投票なのではないかと愚考します/選挙にしても住民投票にしても、実施すれば多額の税金がかかります!!)

 参考までに、民主党も国政ではLRT推進の立場で、そもそもLRT導入推進を求める動きは与野党を問わず政党横断的であることを指摘しておきます。

 今回の記事でも明らかですが、連合栃木は現状の路線バスが機能不全に陥っている点を完全に無視しているようです。
 機能不全に陥っている交通機関に対し、抜本的な構造改善を行わないまま、「廃止されたら大変だ」と公的支援を注入し続けるだけでは、事態は改善する道理がなく、ジリ貧傾向を続けるだけです。

 また、「乗り換えがあると高齢者には優しくない」と主張していますが、路線バスとタクシーを組み合わせたところで乗り換えがあるのは同じことですから、この主張は明らかにおかしいと言えます。
 LRTは、導入する車両が100%低床である場合も部分低床である場合もありますが、車両の出入り口と停留所のホーム面の高低差も隙間も少なく、バリアフリー面で極めて優れている交通機関です。

 「日中はガラガラ」という話も、都市部の鉄道路線でもオフピーク時になればピーク時よりも利用者が減って、大半の乗客は着座でき、立っている客は少なくなります。
 JR宇都宮線(特に小金井以南)を見ても日中は「ガラガラ」ですが、それを無駄というのは暴論で、頻繁に列車が走っていればこそ「待たずに乗れる」から「鉄道を使おう」を思うわけです。これは「乗車の機会性が高い」状態です。
 運転本数が減れば減るほど、この魅力が失われていくということは、体感的にご理解いただけるのではないでしょうか。

 さらに、連合栃木の見解では「宇都宮は日光のように市電が走っていなかった」から初期投資が大幅に上回るということなんですが、これは全く論理的ではないですね。
 では逆に、日光のように市電が走った経験がある都市なら、安価にLRT整備が可能なのか、という話にもなります。
 (注:私自身は、日光市内にもLRTを整備して、観光客がクルマを使わずにも日光に来て観光できると、今まで以上に観光客を誘致できるものと考えています)

 今回の記事を見る限り、連合栃木には本気で公共交通の利便性を高めるという理念や戦略があるとは感じることができませんでした。
 過度なクルマ依存状態がこのまま続いても良い、というふうにも解釈できてしまいます。

 連合栃木が反対する理由が「LRTを導入すると路線バス縮小だから」程度の認識に由来するなら、とんでもない勉強不足です。
 なぜなら、「LRTを導入して終わり」という話ではなく、LRTと既存の鉄道各線との連携、路線バス・コミュニティバド・デマンド交通の再編を含めた拡充が不可欠となり、「バスはなくならない」どころか「ますます重要になる」からです。
 宇都宮市もそろそろ一歩踏み込んで、「バス運転手の雇用機会は守る」方針を明示すべき段階なのかも知れませんね。


【連載記事「LRTを問う」について】

「LRTを問う」第1回(下野新聞 2012年10月27日)について

「LRTを問う」第2回(下野新聞 2012年10月28日)について

「LRTを問う」第3回(下野新聞 2012年10月29日)について

「LRTを問う」第4回(下野新聞 2012年10月30日)について

「LRTを問う」第5回(下野新聞 2012年10月31日)について

「LRTを問う」第6回(下野新聞 2012年11月1日)について

「LRTを問う」第7回(下野新聞 2012年11月2日)について

「LRTを問う」第8回(下野新聞 2012年11月3日)について


 なお、この特集はあくまでも私自身が見聞きしたことについて、感じたことや考えたことを率直に書き綴ったものであり、特定の候補者を応援したり、特定の候補者への投票を呼びかけるものではありません。

 記載内容は、私自身の「ツィッター」でのつぶやきがベースです。
 既にLRTについてよくご存じの方はもちろん、LRTについてあまり詳しくない人・興味がなかった人にも「そうなんだ」と思ってもらえるように、国内外の先進事例や、論拠となる数値をできる限り示して説明するようにしています。


※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。


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