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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

【特集:宇都宮LRT】課題(2)運行主体の決定

先に行われた宇都宮市長選挙は、2期8年を手堅く務めてきた佐藤栄一氏が大差で当選しました。

・2012とちぎ宇都宮市長選 LRT実現 待ったなし 佐藤氏3選 「高齢化備え」奏功(東京新聞 2012年11月19日)
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20121119/CK2012111902000154.html


 LRT導入を公約に掲げた佐藤氏が圧勝したことにより、同氏が掲げた「ネットワーク型コンパクトシティ」を実現するため、その東西方向の軸となるLRT導入計画が大きく前進します。

 今後の課題としては、


(1)市内最大のバス事業者「関東自動車」との調整
(2)LRT運行主体の決定
(3)市民への周知継続


 が挙げられます。

 前回の【課題(1)】関東自動車との調整に続き、2つめの課題である「運行主体の決定」について。


【課題(2)】運行主体の決定

 LRTを導入する場合、運行主体をどうするかは重要な問題です。
 この問題は関東自動車をはじめとするバス事業者との調整にもよりますので、現時点ではまだ未確定要素が大きいものと思います。

 インフラ整備(軌道敷設・施設建設・車両購入)は国と県の補助を受けつつ宇都宮市が行いますので、運行主体については、


(1)市とバス事業者、民間企業、市民などが共同出資する運行会社を設立して運行
(2)関東自動車が運行主体として運行
(3)関東自動車が路線バス事業を人員・設備丸ごと新たな運行主体に売却


 というのが考えられます。

 ただ、インフラ整備(軌道、停留所、関連施設、車両も)を公的資金で賄うとなれば、初期投資額を大幅に圧縮できるから……と判断して、


(4)JR東日本や東武鉄道などの鉄道事業者が運行主体として名乗りを上げる


 という可能性も出てきますが……。


▲ 米国・ポートランドのLRT「MAX」。LRT・路面電車・郊外列車・路線バスは「トライメット」が一括運行。中心市街地の幅員が狭い道路では、LRTの上下線を分離することで限られた空間をフル活用し、LRTとバスがうまく共存しています。

 関東自動車に限りませんが、地方の交通事業者にとって路線バス事業は「経営の重荷」になっています。

 端的に言えば、独立採算制が前提では「赤字」です。
 しかも、鉄道と違って専用走行空間を走らないため、定時運行性と速達性が確保できず(渋滞に巻き込まれるし、法定速度以上で走れないうえにバス停での停車時間が加わるため、マイカーの方が速達性が高くなる)、ますます利用者の路線バス離れが加速していきます。

 現状でも赤字(独立採算制が前提での「赤字」)で、将来の展望も明るくない……となれば、路線バスからは手を引いて、高い収益性が見込める高速バス事業や観光バス事業に特化する方が良いと考えるのが自然な流れです。

 関東自動車も、できれば高速バスや観光バス、企業などとの契約バスに特化して、収益性が高い事業だけで会社のスリム化を図りたいのだと思います。
 しかし、スリム化ということになると、バスの運転手さんなどの人員整理が発生してしまいます。
 会社としては、できれば人員整理はやりたくない筈で(労働問題に直結しますので)、関東自動車が路線バス事業から「撤退」という選択をしない(できない)大きな理由になっているのではないかと考えられます。

 私自身、かつてリストラ解雇や会社倒産で失職した経験があり、雇用を守ることがいかに重要かは骨身に染みて理解しています。
 宇都宮のLRT導入がスムーズに進むかどうかは、バス会社従業員の雇用機会の確保(+希望退職者の転職支援)にかかっているといっても良いのかも知れません。


 参考までに……。

 宇都宮市も市長も、これまで懇切丁寧に市民向けの説明を行っているのですが、東西基幹交通としてLRTを導入するのは、宇都宮が目指す「ネットワーク型コンパクトシティ」実現のための「手段の一つ」に過ぎません。
 LRTを1本通すだけではなく(それだけでもかなりの効果があるのですが)、鉄道・LRT・路線バス・コミュニティバス・デマンド交通との有機的な連携を図り(乗り換え・乗り継ぎをしやすくする)、クルマや自転車からの乗り換えも容易にすることになります。

 LRT導入に伴い、ある程度の路線バスについては整理・統合や運行区間の短縮が行われることになるでしょうから、その分の人員や車両に余裕が生じるはずです。
 余裕が出た人員や車両は、従来は公共交通空白地帯だったエリアへの新規路線用として振り向けることが考えられています。

 つまり、バス路線の整理・統合が行われても、バスの運転手さんの仕事はなくなるどころか、むしろ増えることになります。
 積極的にお仕事するのが嫌だという人はともかく、引き続き職務に励みたいバス関係の従業員を切り捨てるようなことにはならないわけです。


 いずれにしても、今までの日本では考えられなかったような、『プロジェクトX』級の一大変革が動き出します。
 既に富山市が行っているような諸政策を、より規模を大きくして実施していくことになるはずです。


 続いて、【課題(3)】市民への周知継続についてをご覧ください。


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宇都宮のバス路線を改善しないとダメ

始めまして。栃木県に住んでおります。
宇都宮のバスは殆どと言っていいほど、JR宇都宮駅~大通り東武駅前が多いです。これはJR宇都宮駅か東武宇都宮駅を利用する人しか利用しません。そりゃそんなに市民は毎日駅に行く用事は無いですから、自然と乗りませんし、大通りも廃れるのも極自然の事だと思います。

もし、バスだけで都市交通を整備するなら駅のバスターミナルの他に商店街の中心にバスターミナルを用意するのが筋ですし、JR宇都宮駅だけではなく、小さい雀宮駅とか江曽島駅などその周辺を中心に運行するのがバスの役割だと思います。

関東バスの悪い所は(地方のバス全体)新規開拓しないこと・整備不足・多重運転が多いところです。

まず最初の新規開拓は、古い町の路線しかなく新しく出来たショッピング施設やニュータウンなどに路線ができるのが遅いもしくは出来ない事。

二つ目の整備不足は、バス停徒歩圏の人しか利用が難しい。バスが鉄道の代わりなら遠方の人の利用しやすい。駐輪場・駐車場・案内機・ベンチなどの整備不足。

最後の多重路線。宇都宮市内でしたら東武前~JR宇都宮駅前・水戸市内なら水戸駅~茨城大学前など、必要以上の輸送。ドル箱路線重視運行体系。

宇都宮のLRTで少しでもバス会社の改善、上記の問題が良くなれば良いですね。

  • from nasuno :
  • 2012/11/26 (20:30) :
  • Edit :
  • Res

Re:宇都宮のバス路線を改善しないとダメ

・nasunoさん

 当ブログをご覧くださいまして、ありがとうございます。

 私はよく宇都宮に出かけるのですが、JR宇都宮駅までの移動はともかく、そこから先の移動に本当に難儀してしまいます。
 JR宇都宮駅西口~東武宇都宮駅までの西口大通りはひっきりなしにバスが走っていますが、肝心の西口バスターミナルは余所者にとっては非常に分かりにくく、どの乗り場からどこ行きのバスに乗っていいのか、それを調べている内に乗るはずのバスに発車されてしまう……なんてことも日常茶飯です。

 ご指摘の通り、既存の路線バスはあまりに「JR宇都宮西口~東武宇都宮」偏重ですが、一番確実な収入源である定期利用者の最多利用区間がこの区間なので、そこに経営資源を集中していること自体は、やむを得ない面があります。
 しかし、こちらもご指摘のように、他の鉄道駅を起点とする路線や、周辺地域をカバーする路線はかなり貧弱だと私も思います。

 関東自動車は最初の経営破綻時に、栃木県下第2位の小山市から、ほぼ全ての路線を廃止しました。
 当時小山市民だった私は、いくらなんでも、こんなにもあっさり撤退するのが公共交通の担い手のすることなのかと驚きました。
 小山市ではすでに循環バスを試験的に運行していたのですが、関東自動車の撤退を受けて、市がタクシー事業者などに運行委託するコミュニティバスの本格運行を行うことにして、「おーバス」として運行を開始。
 市が低床バス「ポンチョ」やマイクロバス、ワイドサイズのバス型ワンボックスカーなどを購入し、関東自動車が廃止した路線の代替手段として運行しています。

 経営破綻後の関東自動車は投資ファンド傘下に入りました。
 路線バス事業が年々急速に右肩下がりを続ける中、高速バスや企業などと契約して運行するシャトルバスなどの高収益事業によって、何とか企業価値を上げようとしていたのだと思います。
 当然、経営資源は高収益事業に集中し、路線バス事業では現状維持で手一杯。宇都宮市にも運行補助金を入れてもらい、辛うじて運行していたのでしょう。

 もはや、旧来の方式で路線バスを運行し続けることは事実上不可能で、宇都宮の市域内交通は抜本的な改革が急務です。

 宇都宮市による「ネットワーク型コンパクトシティ」を目指すまちづくり構想は、南北方向は既存のJR宇都宮線、東西にはLRTを導入しつつ、バス事業を再編してこれらと有機的に結節させるもので、実はバスの活躍の場が市域全体に広がる可能性を秘めています。
 今後の市域内公共交通は、市と交通事業者、民間企業、市民などが共同出資してLRT・路線バス・コミュニティバス(場合によっては地域内交通も)を一括運行する運行主体を組織して、官民一体で運行していく方向にシフトしていくべき時期に入ったのだと考えます。
 従来なら「赤字補填」としてきた考え方はもうやめて、まちの魅力を保ち発展させるための「必要な投資」という枠組みで、市は「金も出すが口も出す」ようにしていくことが必要になるのではないか……と思います。


 ともあれ、「LRT導入」を公約にした現職が大差で当選したことは、極めて重要な意味を持ちます。
 市長選で投票した有権者の内、「賛成」「どちらかというと賛成」の人数は「反対」「どちらかというと反対」を上回っていますし(元々「積極的な反対派」はごく一部しかいません)、投票しなかった有権者も市政に明確な不満を感じていないから「わざわざ投票に行かなかった」と見なすことができます。
 今回もLRTが「政争の具」とされてしまいましたが、宇都宮市民の皆さんが中長期的展望に基づいて、適切な時期に適切な投資を行って、北関東の雄としての先見性を示してほしいと期待しています。
  • from NAL(管理人) :
  • 2012/11/27 (16:57) :
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 「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
 しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
 公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!

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