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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

【JR東日本】「EV-E301系」(ACCUM/アキュム)見学

■新型「EV-E301系」見学のため烏山駅へ!!

 JR烏山線(からすやません)で、蓄電池駆動方式の新型電車「EV-E301系」(一般公募で愛称は「ACCUM/アキュム」に決定)の先行車(2両固定編成)が運行を開始しました。
 「NE Train スマート電池くん」の研究成果を活かした実用型車両で、今後運用実績を積み上げながら老朽化・陳腐化している「キハ40」を更新していく予定です。

・EV-E301系(JR東日本 車両図鑑)
 http://www.jreast.co.jp/train/local/ev_e301.html

・烏山線でEV-E301系が営業運転を開始(「railf.jp」 2014年3月16日)
 http://railf.jp/news/2014/03/16/174500.html

・烏山線にEV-E301系。(「編集長敬白」 2012年11月8日)
 http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2012/11/post_347.html

・【JR東日本】烏山線に蓄電池電車「EV-E301系」2014年春頃導入(「下館レイル倶楽部」 2012年11月6日)
 http://shimodate.blog.shinobi.jp/news/ev-e301_20121106

 ダイヤ改正から日が経ってしまいましたが、「下館レイル倶楽部」のメンバー有志と共に「視察」に行ってきました。

「EV-E301系」
▲ JR烏山線の新型バッテリー電車「EV-E301系」。こちらは宇都宮方の「EV-E300形」。(クリックすると拡大画像を表示します)

 今回訪れた烏山駅と、東北本線(宇都宮線)から分岐する宝積寺(ほうしゃくじ)駅には、本形式のための部分的な架線区間を新設。停車中に充電を行います。
 宇都宮駅に乗り入れる際は、宇都宮~宝積寺間は直流電化されていますので、ここでは普通の電車と同じようにパンタグラフを上げて走ります。

 先ほどの画像は、宇都宮方の「EV-E300形」。
 パンタグラフは、烏山方の「EV-E301形」(下の画像)に2基搭載。

「EV-E301系」
▲ JR烏山線の新型バッテリー電車「EV-E301系」。パンタグラフを2基搭載する「EV-E301形」側から撮影。(クリックすると拡大画像を表示します)

 2両1ユニットで、片方の車両だけにパンタグラフがついているので「1M+1T」(動力車×1、付随車×1)かと思いきや、「EV-E300系」は「0.5M+0.5M」構造。
 どちらの車両も、運転席寄りの台車は付随台車ですが、連結面寄りの台車は動力台車です。

鋼体架線
▲ 充電用の鋼体架線。(クリックすると拡大画像を表示します)

 烏山駅構内は、パンタグラフを搭載する「EV-E301形」の停車位置付近だけ、地下鉄の駅構内にあるような鋼体架線が設置されています。

 ちょっと場所を変えて、今度は変電&充電施設の方から撮影してみました。

「EV-E301系」
「EV-E301系」「EV-E301系」
▲ ホームから離れ、充電施設の方から撮影。(クリックすると拡大画像を表示します)

 JR烏山線の「キハ40」は、さすがに陳腐化が目立つようになっていました。
 そろそろ車両更新の時期では……という話題は前からあって、「キハ110系」(片開き2ドア車)が転属になるのではないか、いやいや新潟地区に投入された「キハE120系」(両開き2ドア車)や、水郡線や久留里線に投入された「キハE130系」(両開き3ドア)が導入されるのでは……などなど、さまざまな憶測が飛んでいました。
 しかし実際には、試験車両「NE Train スマート電池くん」の技術をフィードバックした先進車両「EV-E301系」への置き換えが決定。

 「EV-E301系」導入を機に、非電化のまま(烏山駅構内と宝積寺駅構内の充電施設以外は電化工事を行わないまま)正真正銘の「電車」が走る路線に変わっていくことになります。
 (なお、本車の設計最高速度は100km/hですが、烏山線内の運転速度はこれまでと変わらず65km/hのままです……)


■車内レイアウトはごく「普通」

 「EV-E301系」は、「209系」や「E501系」などと同様、裾の絞り込みがないストンとした車体断面。
 車内はオールロングシート。

「EV-E301系」
▲ 車内はロングシートです。(クリックすると拡大画像を表示します)

 ドアは両開き・3ドアで、連結面寄りのドアには整理券発券機が設置され、一見するとトイレのような機器室も。

「EV-E301系」車内「EV-E301系」車内「EV-E301系」車内
▲ 車内にはバッテリー駆動システムを説明する液晶パネルも。(クリックすると拡大画像を表示します)


■「EV-E301系」導入に合わせて変電&充電施設を設置

 駅の奥手(北側)には変電&充電施設が設置されていて、ここから鋼体架線区間に向けて給電用の架線が張られています。

充電施設充電施設充電施設
▲ 「EV-E301系」導入に合わせて設置された充電施設。施設は高床式になっています。(クリックすると拡大画像を表示します)

 烏山駅はかつて2面2線の構造で(普段東側のホーム&レールは使用していなかった)、機関車牽引列車を運行する際には「機回し」も行えたのですが……。
 「EV-E301系」導入を機に、変電&充電施設の設置用地が必要になったため、普段使っていなかった東側のレールと機回し線を撤去。
 現在は1面1線の構造になっています(東側のホームはそのまま残されてます)。


■「EV-E301系」導入を機に駅舎もリニューアルした烏山駅

 烏山駅の駅舎は、「EV-E301系」導入を機にリニューアル。
 ご覧の通り、なかなかダイナミックな外見になっています。

烏山駅烏山駅烏山駅
▲ 「EV-E301系」導入に合わせて、烏山駅はリニューアルを実施しています。(クリックすると拡大画像を表示します)

 駅舎の隣には、腕木式信号機がオブジェとして設置されています。

腕木式信号機
▲ 大胆なデザインの駅舎の隣には、腕木式信号機も。(クリックすると拡大画像を表示します)

 今の烏山線は、日中1時間半に1本ほどの運行頻度ですが、終点の烏山駅は宇都宮まで32km、直通列車なら1時間かからないという近さ。
 やりようによってはかなり化けても不思議ではない路線でもあります。

 この日は撮影に訪れていた人達だけでなく、中高年の団体客も列車に乗っていました。

 烏山駅には、地元・那須烏山市が運行する市営バスが複数発着。
 新しい駅舎は、交通拠点としてはもちろん、地元にとって重要な交流拠点としても機能しているような印象を受けました。


■発車時刻が迫るとパンタグラフを畳む

 さて、発車時刻が迫ると「EV-E301形」のパンタグラフは下ろされました。

「EV-E301系」
▲ 発車時刻が近づくと、2基のパンタグラフは収納。(クリックすると拡大画像を表示します)

 列車は発車時刻ちょうどに出発。
 ここから宝積寺駅までの約20km、架線がない区間を走って行くことになります。


■非電化路線を全線電化するよりも……

 ディーゼルカーが走る非電化路線は、全国にたくさんあります。

 非電化路線でも電化路線並みのサービスを提供することは十分可能ですが(高性能ディーゼルカーはその辺の電車以上の性能を持っています)、ディーゼルカーのままだと電車より運行経費が割高になることと、メンテナンスの手間がかかることがネックです。
 とはいえ、電化工事を行うためには大きな設備投資が必要になるので、一定以上の需要がないとなかなか電化に踏み切れなかった……というのがこれまでの状況でした。

 もし「EV-E301系」のような車両が手頃なコストで調達・運用できるとなれば、必ずしも全線電化にこだわらなくても良い(少なくとも全線電化する必要はない)ということになります。
 大容量バッテリーの耐久性がどうか、寿命はどの程度か、どの程度のコスト低減が実現できるか、万が一の衝突時の安全性は……などなど、まだまだ運用実績を蓄積していく必要はあるとは思いますが、多大な設備投資を要する電化工事を行わずに非電化路線をアップグレードできるというのは、大きな可能性を秘めています。

 というのは、既存路線のアップグレードを検討する場合だけでなく、今後新規に鉄道やLRTを整備する場合にも、


全線電化……通常タイプの電車を運行
部分的電化……「EV-E301系」のような構造のバッテリー電車を運行
全線非電化……ディーゼルカーを運行


 のいずれが適しているか、比較検討できるようになるためです。


 「EV-E301系」は、まだ2両編成×1本だけしか運行していませんが、こうしたことを考えると、きわめて重要な車両であるといえます。


※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。


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 「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
 しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
 公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!

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