下館レイル倶楽部
真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)
【宇都宮LRT】栃木県の福田知事、県の東西基幹交通はLRTが最適と明言
- 2011/12/11 (Sun)
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ご紹介が遅れてしまいましたが、2011年11月18日(金)午後に宇都宮で行われた「第2回 都市交通システム講演会」で、栃木県の福田 富一(とみかず) 知事が「県の東西基幹交通にはLRTが最適」と、LRT推進を明言しました。
9月には宇都宮市の佐藤栄一 市長も市内の東西基幹交通にはLRTが最適という講演を行っています。
・知事、LRT導入に改めて前向き姿勢 栃木(MSN産経 2011年11月19日)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111119/tcg11111902120001-n1.htm
この講演会を主催したのは、「六団体連絡協議会」。
「六団体連絡協議会」とは、「栃木県行政書士会」、「栃木県土地家屋調査士会」、「社団法人栃木県宅地建物取引業協会」、「社団法人栃木県建築士会」、「社団法人栃木県測量設計業協会」、「社団法人栃木県建築士事務所協会」の6団体による協議会です。
9月に佐藤市長が講演を行った「第1回 都市交通システム講演会」も、「六団体連絡協議会」の主催でした。
▲ 2011年11月18日(金)、宇都宮で「第2回 都市交通システム講演会」が催されました。(クリックすると拡大画像を表示します)
講演の前に、まず主催者側からの挨拶があり、知事に対して2つの要望が出されました。
一つは、「東西基幹交通としてLRT導入を」という要望。
もう一つは、「日光のいろは坂を上るケーブルカーを復活させて、ケーブルカーと接続する市内軌道も復活を」という要望です。
日光市内にLRTを、というのは、何年か前にも新聞で取り上げられたことがあったのを記憶しています。
かつての市内軌道をノスタルジーの対象として復活させるのではなく、渋滞解消の切り札として活用するというのであれば、これはかなり有効です。
日光と言えば国内はもとより、海外からも多数の観光客が訪れる観光地です。もし、電車で日光に来て、そこからの移動手段にも困らないとなれば、これは大きな魅力になります。
また、これとセットでケーブルカーの復活も実現すれば、いろは坂をクルマで上り下りせずに済むようになり、観光客には大きな利点となるでしょう。
▲ 福田 富一 知事は、「私の夢」と前置きしつつも、東は茂木(できれば「ツインリンクもてぎ」)、西は日光まで直通するトラムトレインを実現したいと発言しました。(クリックすると拡大画像を表示します)
その後、来場していた船田 元(はじめ)前衆議院議員からの挨拶があり、続いて福田知事が登壇。
知事になってから公の場では初めてLRT推進を明言した、注目すべき講演となりました。
■県の東西基幹交通にはLRTが最適
知事の講演は、佐藤市長の講演を受けて、県としても東西を結ぶ基幹公共交通の導入を推進したいという話で始まりました。
具体的には「基幹交通にはLRTが最適」であり、東は真岡鐵道に結節して、できれば茂木から「ツインリンクもてぎ」まで延伸。
西は新鹿沼付近まで軌道を敷設して、そこから日光まで直通する。
つまり、LRTの整備とトラムトレインの実現により、茂木~宇都宮~日光を直通できるようにしたい、という内容でした。
日光の市内軌道をLRTとして「復活」させることと、それとセットでケーブルカーを「復活」させることについては、渋滞緩和や環境負荷軽減の観点、さらには観光集客の観点からも極めて有益であるのは確かなので、あとは地元から導入に向けた機運が醸成されれば……というお答え。
日光へはできるだけ電車など公共交通で来てもらい、そこからの移動にも困らないようにすることで観光地としての魅力を向上させようという意図のようです。
県としても、地元の皆さんが検討材料として活用できそうな資料や情報を提示できるようにしたい、とのことでした。
■コスト面の懸念はない
その後、知事からは県の魅力アップに関する諸施策の説明があり、それが一通り終わった後で、再び公共交通に関する話題に。
9月の市長講演会に関するアンケート内容を踏まえて、市民から寄せられた疑問・質問について、知事のお立場でのご返答。
建設費の懸念については、モノレールやAGT(「ゆりかもめ」のようなゴムタイヤ式案内軌条交通システム)は1km整備するのに100億円、ガイドウェイバスは1km整備するのに50億円かかるところ、LRTであれば1kmあたり25億円程度に抑制できると説明。
道路整備と比較すると、「テクノ通り」の整備には1km38億円、「北道路」に至っては1km100億円を要していて、「大通り」の拡幅には1km90~100億円を要していると対比。
一部で高価だとされるLRTは、実際には4車線道路を通すのと同じ程度の金額になるとの説明がありました。
宇都宮のLRTについては、維持管理費が年間15億円かかるとの試算があり、一方で運賃収入は年間20億円を見込んでいるとのこと。
そのための「採算ライン」は33,000人/日であるけれども、これは往復合わせての人数なので、実際にはその半分程度(16,500人/日)が乗れば十分ペイすることになるとの説明がありました。
(本来、公共交通を採算性だけで論じるのは不適当であるけれども、分かりやすく説明する材料の一つとして数字を出した、ということでした)
ちなみにこれらの維持管理費、乗車人員と運賃収入は、清原地区~JR宇都宮駅~桜通付近までの約15kmほどを一括整備する場合のもので、もしJR宇都宮駅東口~清原地区を先行開業するのであれば、もっと「導入しやすい数字」になります。
「住んでいる人が住み続けたいと思う」
「進出している企業が居続けたいと思う」
「他の地域から移住したいと思う」
そんな街作りを積極的に進めていかないと、今後激化するだろう地域間競争、都市間競争には勝てないだろう……という話で講演は終わりました。
■JR宇都宮駅を「またぐ」ための費用は40億円
その後の質疑応答では、「LRTには期待しているが、駅の東西で軌道が分断される点の解決方法は?」との質問がありました。
知事からは、東西約15kmほどを結ぶフル整備の場合の建設費「355億円」の内、「約40億円」はJR宇都宮駅をまたぐために費やすものであるとの説明がありました。
東西をまたぐこと自体は可能で、その場合は地平レベルの在来線と、高架の新幹線の間を通すことができること、高度を稼ぐ必要があることも考慮して、駅東口の電停は2階レベルに設定することを考えている計画であることも説明がありました。
来年(2012年)は県知事選挙、市長選挙が控えていて、その辺も見越しての講演だったのではないかと思います。
重要なのは、宇都宮市長も栃木県知事も、就任後おそらく初めて「LRT推進」を明言したことでしょうね。
首長が「やる」と明言しただけでなく、産業界、教育機関、住民団体など、かなり広範で確固たる支持を取り付けた上での発言なので、実現を前提とした明確なメッセージということになります。
もちろん「通して終わり」という話ではなくて、LRT導入とセットで公共交通ネットワークの再編と、持続可能な街づくりに向けた諸施策を実現していくということ話なので、大いに期待できるのではないかと思っています。
※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。
9月には宇都宮市の佐藤栄一 市長も市内の東西基幹交通にはLRTが最適という講演を行っています。
・知事、LRT導入に改めて前向き姿勢 栃木(MSN産経 2011年11月19日)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111119/tcg11111902120001-n1.htm
この講演会を主催したのは、「六団体連絡協議会」。
「六団体連絡協議会」とは、「栃木県行政書士会」、「栃木県土地家屋調査士会」、「社団法人栃木県宅地建物取引業協会」、「社団法人栃木県建築士会」、「社団法人栃木県測量設計業協会」、「社団法人栃木県建築士事務所協会」の6団体による協議会です。
9月に佐藤市長が講演を行った「第1回 都市交通システム講演会」も、「六団体連絡協議会」の主催でした。
▲ 2011年11月18日(金)、宇都宮で「第2回 都市交通システム講演会」が催されました。(クリックすると拡大画像を表示します)
講演の前に、まず主催者側からの挨拶があり、知事に対して2つの要望が出されました。
一つは、「東西基幹交通としてLRT導入を」という要望。
もう一つは、「日光のいろは坂を上るケーブルカーを復活させて、ケーブルカーと接続する市内軌道も復活を」という要望です。
日光市内にLRTを、というのは、何年か前にも新聞で取り上げられたことがあったのを記憶しています。
かつての市内軌道をノスタルジーの対象として復活させるのではなく、渋滞解消の切り札として活用するというのであれば、これはかなり有効です。
日光と言えば国内はもとより、海外からも多数の観光客が訪れる観光地です。もし、電車で日光に来て、そこからの移動手段にも困らないとなれば、これは大きな魅力になります。
また、これとセットでケーブルカーの復活も実現すれば、いろは坂をクルマで上り下りせずに済むようになり、観光客には大きな利点となるでしょう。
▲ 福田 富一 知事は、「私の夢」と前置きしつつも、東は茂木(できれば「ツインリンクもてぎ」)、西は日光まで直通するトラムトレインを実現したいと発言しました。(クリックすると拡大画像を表示します)
その後、来場していた船田 元(はじめ)前衆議院議員からの挨拶があり、続いて福田知事が登壇。
知事になってから公の場では初めてLRT推進を明言した、注目すべき講演となりました。
■県の東西基幹交通にはLRTが最適
知事の講演は、佐藤市長の講演を受けて、県としても東西を結ぶ基幹公共交通の導入を推進したいという話で始まりました。
具体的には「基幹交通にはLRTが最適」であり、東は真岡鐵道に結節して、できれば茂木から「ツインリンクもてぎ」まで延伸。
西は新鹿沼付近まで軌道を敷設して、そこから日光まで直通する。
つまり、LRTの整備とトラムトレインの実現により、茂木~宇都宮~日光を直通できるようにしたい、という内容でした。
日光の市内軌道をLRTとして「復活」させることと、それとセットでケーブルカーを「復活」させることについては、渋滞緩和や環境負荷軽減の観点、さらには観光集客の観点からも極めて有益であるのは確かなので、あとは地元から導入に向けた機運が醸成されれば……というお答え。
日光へはできるだけ電車など公共交通で来てもらい、そこからの移動にも困らないようにすることで観光地としての魅力を向上させようという意図のようです。
県としても、地元の皆さんが検討材料として活用できそうな資料や情報を提示できるようにしたい、とのことでした。
■コスト面の懸念はない
その後、知事からは県の魅力アップに関する諸施策の説明があり、それが一通り終わった後で、再び公共交通に関する話題に。
9月の市長講演会に関するアンケート内容を踏まえて、市民から寄せられた疑問・質問について、知事のお立場でのご返答。
建設費の懸念については、モノレールやAGT(「ゆりかもめ」のようなゴムタイヤ式案内軌条交通システム)は1km整備するのに100億円、ガイドウェイバスは1km整備するのに50億円かかるところ、LRTであれば1kmあたり25億円程度に抑制できると説明。
道路整備と比較すると、「テクノ通り」の整備には1km38億円、「北道路」に至っては1km100億円を要していて、「大通り」の拡幅には1km90~100億円を要していると対比。
一部で高価だとされるLRTは、実際には4車線道路を通すのと同じ程度の金額になるとの説明がありました。
宇都宮のLRTについては、維持管理費が年間15億円かかるとの試算があり、一方で運賃収入は年間20億円を見込んでいるとのこと。
そのための「採算ライン」は33,000人/日であるけれども、これは往復合わせての人数なので、実際にはその半分程度(16,500人/日)が乗れば十分ペイすることになるとの説明がありました。
(本来、公共交通を採算性だけで論じるのは不適当であるけれども、分かりやすく説明する材料の一つとして数字を出した、ということでした)
ちなみにこれらの維持管理費、乗車人員と運賃収入は、清原地区~JR宇都宮駅~桜通付近までの約15kmほどを一括整備する場合のもので、もしJR宇都宮駅東口~清原地区を先行開業するのであれば、もっと「導入しやすい数字」になります。
「住んでいる人が住み続けたいと思う」
「進出している企業が居続けたいと思う」
「他の地域から移住したいと思う」
そんな街作りを積極的に進めていかないと、今後激化するだろう地域間競争、都市間競争には勝てないだろう……という話で講演は終わりました。
■JR宇都宮駅を「またぐ」ための費用は40億円
その後の質疑応答では、「LRTには期待しているが、駅の東西で軌道が分断される点の解決方法は?」との質問がありました。
知事からは、東西約15kmほどを結ぶフル整備の場合の建設費「355億円」の内、「約40億円」はJR宇都宮駅をまたぐために費やすものであるとの説明がありました。
東西をまたぐこと自体は可能で、その場合は地平レベルの在来線と、高架の新幹線の間を通すことができること、高度を稼ぐ必要があることも考慮して、駅東口の電停は2階レベルに設定することを考えている計画であることも説明がありました。
来年(2012年)は県知事選挙、市長選挙が控えていて、その辺も見越しての講演だったのではないかと思います。
重要なのは、宇都宮市長も栃木県知事も、就任後おそらく初めて「LRT推進」を明言したことでしょうね。
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