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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

2月8日(月)「公共交通シンポジウム」レポート

『ひと』『まち』『地球』にやさしいこれからの交通システムを考えよう 公共交通シンポジウム
~2010年2月8日(月)・水戸「県民文化センター」で実施~


 2010年2月8日(月)、茨城県公共交通活性化会議(会長:茨城県知事)主催の公共交通シンポジウムが行われました。 62bdf3d1.jpeg
 基調講演として、交通ジャーナリスト・鈴木文彦氏の講演「みんなで考えよう!地域公共交通の活性化」、筑波大学大学院講師・谷口綾子氏の講演「公共交通で健康増進」と、パネルディスカッション「地域で支える公共交通のあり方」が行われました。

 茨城県では、先年廃止となった鹿島鉄道跡地をバス専用道化する「BRT」計画が進められていて、講演とパネルディスカッションを通した印象としては、この鹿島鉄道跡BRT計画の理論付けも狙っているのかな……というような印象もやや受けました。


■講演「みんなで考えよう! 地域公共交通の活性化」

 最初の講演は、シンポジウムのコーディネーターでもある交通ジャーナリスト・鈴木氏による地域公共交通についての講演。
6e20cefa.jpeg
 昨今コミュニティバスの導入が各地で行われていますが、運行すれば良いわけではなく、しかるべき戦略や目的が不可欠であること。
 幹線系・支線系・地域内交通と、それぞれが有機的に連携しないと効果が半減してしまうこと。
 従来は赤字路線の存廃問題が表面化してからの「対策」に力点が置かれていたが、今後は総合的な「政策」として考えるべきであること。

 このような主旨の、多岐に渡る講演でした。

 鈴木氏はバスの愛好家ということもあり、また地域の公共交通についての話がメインだったこともあって、鉄道やLRTよりもバスに比重を置いた話ではありました。
 (最後のまとめも「バス・鉄道」の利用促進を……という順番でしたし)

 もちろん、電車だバスだと区別して考えるのではなく、異なる交通モードの連携が肝要だという前提は踏まえてのお話しではありました。


■講演「公共交通で健康増進」

 続いて、筑波大学の谷口講師による公共交通の重要性についての講演。
 タイトルでは「健康増進」とありましたが、話の肝はそこではなく、過度なクルマ依存から脱却し、公共交通とクルマの上手な使い分けを進めよう……というような内容でした。

ae0221c1.jpeg 公演冒頭で、クルマが便利なのは大前提として踏まえつつ、

・皆が便利さを享受しようとするあまり、かえって不便になる(渋滞が頻発して所要時間が長くなるなど)という社会的ジレンマが発生する
・その結果として公共交通離れが進めば、公共交通はますます不便になってしまう(利用者が減ると減便につながり、減便すればさらに利用者が遠のく……という負のスパイラルが発生する)

 ……と、過度なクルマ依存に継承を鳴らしつつ、

・公共交通を利用するには、自分のライフスタイルを公共交通の運行時間に「合わせる」ことになるが、そのことで規則的な生活リズムが生まれる
・公共交通を利用するためには歩いたり自転車に乗ることになるが、体を動かすことで健康にも良いう生まれる

 ……と、公共交通を利用することの副次的なメリットも紹介していました。


 公共交通はその都度お金を払っているので「高い」という印象が強い人も少なくないようですが……との前置きで、ガソリン代しかかかっていないと思いがちのクルマも、実は取得代金や車検代、税金、各種保険などを日割りにすると、リッターカーでも1日あたり1,500円以上かかっているんだという説明に、会場内から驚きの声が。
 これが高級車になると、1日5,000円以上という車種もあり、そこにガソリン代などが加わると……。

 なるほど、これだと普段あまり意識していない人にとっても、結構分かりやすい説明ですね。


 今後、公共交通を活性化するためには、

・教育の現場や各家庭での子育ての過程で、公共交通に親しませることが極めて重要
・クルマ産業が「クルマはかっこいい」というイメージ戦略を長年行ってきたのと同様、「電車やバスを使うことはスマートだ」というイメージ戦略が必要

 こんなお話しもありました。


■パネルディスカッション「地域で支える公共交通のあり方」

 パネルディスカッションでは、上記の鈴木氏が司会を務め、パネリストととして前出の谷口講師や、ひたちなか海浜鉄道の吉田社長などが登壇。
 それぞれのお立場でどんな活動をしているのか、公共交通活性化のためにどんなことが必要か等々の発言がありました。
 
cff57675.jpeg ひたちなか海浜鉄道は、市民鉄道としての再スタートを切ることに成功し、市民団体や地元商店街、高校などの熱心なバックアップもあって好調に推移していること、今後はさらなる観光需要の呼び込みにも注力していくことなどを説明。
 現在、金上駅での交換設備新設工事を行っていて、工事完了後は運行頻度の向上を実現できるようになりますから、利便性も向上することになります。
 また、他社からの中古車両導入による旧型車両の置き換えも行っていく予定ですので、それが実現すると車両のグレードが上がるだけでなく、冷房化率も向上するので、サービス面の改善が図れます。
 ひたちなか市も鉄道とコミュニティバスの連接による公共交通活性化に熱心ですから、今後もさらなる活性化に期待したいところです。

 日立市南部の乗合タクシー「みなみ号」は、地域の全世帯から年間2,000円の運行経費を負担してもらって運行しているとのこと。
 利用は大半が高齢の女性で、1日4便、利用数も安定している……というより、頭打ちになっているとのこと。
 今後を考えると、デマンドタクシーへの移行を検討することになるかも……というようなお話しでした。
 運行経費を役所頼りにしないで、一部は地元が負担する……という形態は、年間2,000円とはいえ各家庭に直接負担をお願いするわけですから、実現までには大変なご苦労があっただろうと思います。 

 土浦市内のコミュニティバス「キララちゃん」は、利用は着実に伸びてきたが、現在100円としている運賃をどうするのかなど、今後考えて行かないといけないというお話し。
 コミュニティバスは、「運賃収入3割、自治体からの運行補助7割」程度が適正(前出の鈴木氏)とのことですが、「キララちゃん」の現状もだいたいこの程度だそうですから健闘していることは間違いありません。しかし、確かに運賃100円のままで大丈夫だろうか……という懸念は出てくると思います。
 土浦は特急停車駅ですし、市内の路線バス網も健在ではあるのですが、どんどん活性化するつくば市に比べると勢いを失っていることは確かですので、その意味でも「キララちゃん」バスなどの取り組みで中心市街地をさらに活性化できるかどうか、今後が気になるところです。


 その後、質疑応答も行われ、数人がパネリストに質問を行いました。

 水戸にLRT導入を検討している「高齢者と環境にやさしい交通まちづくりを考える会」の若者も質問があり、

・茨城県の担当者……「LRTについてはまだ勉強中」としながらも、要望があれば検討していく……というようなお返事(ただし、明確は返答ではありませんでした)。
・谷口講師……導入するかどうかは議会が決めます、議会は議員で運営されますので、そうした見識を持つ議員を議会に送り出すことも必要になるでしょう、とのお返事。
・鈴木氏……LRTは初期投資が大きくなるので、採算性があるのかどうかなどの検討も必要……と、慎重な見方を示しました。



 茨城県は、年々クルマ依存が深刻化していて、現状では「移動手段がクルマ」の割合が9割に迫る勢いです。
 当然、その分公共交通は衰退の一途で、特にバスは激しい勢いで輸送量を減らし続けています。

 クルマは確かに便利です。
 しかし、本当にこのままでいいんでしょうか。

 公共交通の衰退は、誰もが気軽に移動できる自由がなくなっていくことでもあるし、地域の衰退とも直接的にリンクしていきますから、どこかで食い止めないといけません。

 クルマ依存をどれだけ是正できるか。
 どれだけの人が当事者意識を持って、交通の問題を考えていけるか。

 「気がついたら、地元の公共交通がなくなっていた」なんてことにならないよう、各々の立場で「できること」をしていくことが肝要となっていくものと思いました。

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