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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

地方都市へのLRT導入

■過度なクルマ依存状態を脱して、便利な公共交通を実現するには

 これまでの状況についての分析も含め、よくまとまった良記事です。

・クルマ社会がもたらす地方都市の荒廃 – 新しい交通システムLRTに未来はあるか(ASREAD 2014年6月5日)
 http://asread.info/archives/773

 地方に住んでいるから「地方だからクルマ」が良いと思っている人ばかりではなくて、案外少なくないのは「そうは言っても(公共交通のサービスレベルが低いんだから)仕方ないだろ」という意見。
 逆に言えば、公共交通のサービスレベルを高めて、ネットワークを拡充することができれば、地方であっても「必ずしもクルマがなくても良い」状態を創出できますし、そのようなライフスタイルを選択する人が増えていきます。
 実際、つくばエクスプレス(TX)開業後のつくば市など沿線では、こうした人が増えていますしね。


■バスより輸送力が大きく、フル規格の鉄道より安く

 地方都市では都市間輸送を担う鉄道と、都市内輸送を担うバスが運行していることが多いのですが、過度なクルマ依存状態が進み、郊外化が進んでしまった状態に十分対応し切れているとはいえません。
 そこで、より高い公共交通サービスを実現するために、従来の路線バスよりも輸送力・速達性・定時運行性が高く、なおかつフル規格の鉄道ほどにはイニシャルコスト(初期投資)やランニングコスト(維持費)がかからない、地方都市の基軸になり得る交通手段の新たに整備することが必要になることがあります。
 その回答の一つが軽量軌道交通、つまりLRT(ライト・レール・トランジット)です。


▲ 米国テキサス州ダラスのLRT。車両は日本の近畿車輛が製造しています。元々は2車体で1編成の高床LRVですが、中間に低床車体を挟み込んで3車体で1編成になっています。完全低床車でなくてもバリアフリー対策は可能です。(クリックすると動画を再生します)

 一言に地方都市と言っても、公共交通として成り立つだけの集約・集積は必要となります(上下分離方式を導入する前提であるとしても)。
 LRTを「完全新規に導入」できる一つの基準は「人口20万以上の規模かどうか」といわれていますが、人口20万人以下であっても、既存の鉄道路線を転用したり利活用できる場合は、もっとハードルは下がります。


■「何でもあり」がLRTの強み

 LRT=軽量軌道交通=必ずしも「低床型」の「路面電車」である必要はないものの、ダイレクトに市街地へ乗り入れて来て、スムーズに乗降容易な電車は強いインパクトをもたらすことは確かです。
 (いや、ディーゼルカー/ディーゼルLRVという選択肢もある以上、そもそも「電車」に限定する必要もないのですが)


▲ 米国ニュージャージー州の州都トレントン~工業都市カムデンを結ぶLRT「リバーライン」は、ディーゼルLRVで運行しています。運行するのは、同州で通勤鉄道、LRT、バスを一括運行する公営会社「ニュージャージー・トランジット」。(クリックすると動画を再生します)

 既存の遊休路線があれば転用してもいいし、運行頻度がショボい既存の鉄道路線を転換して活性化してもいいし、新設する必要がある区間には新設すればいいし、新設区間と既存鉄道路線を直通運転してもいい……というのがLRTならでは特徴。
 ついでにいえば、部分的な地下区間や高架区間を設けてもいいし、できれば専用軌道や走行空間が分離している方がいいけど、場合によっては併用軌道でもいい……と。

 「完全新規」に「フル規格の鉄道路線」を建設することが難しい地方だからこそ、LRTという選択肢は注目されているのだろうと思います。


■交通モードが異なっても、運賃体系や運行形態を共通化・円滑化することが重要

 新たに公共交通サービスを整備・導入する場合、重要なのは「導入するルートの戦略性や重要性、将来への拡張性なども考慮したうえでの選択を行う」ことです。
 基本的に、充分な効果を得るには相応の費用がかかります。

 戦略性が高く重要なルートなのに「コストがかかるからやらない」「安上がりで済ませよう」と投資を惜しんだ結果、本来得られる筈の効果をまるまる逸してしまうリスクにも注意しなければなりません。
 また、整備・導入時期が遅れれば遅れるほど、状況が地域や都市を取りまく環境が悪化していくリスクにも留意する必要があります。

 新規整備のLRT、ローカル線のLRT化、遊休路線を転用するLRT、中心市街地の新設軌道と郊外の既存鉄道を接続するLRT(トラムトレイン)、専用軌道を走るBRT、専用レーンを走る高度化したバス……などなど、いろいろな選択肢があり得ます。
 要はルートごとにケース・バイ・ケースで柔軟に検討すれば良いということです。

 そのうえで、異なる交通モードに乗り継いても割引制度を導入したり、できれば交通モードの違いで運賃体系を別々にする従来方式ではなく、異なる交通モードを乗り換えてもエリア内は共通運賃で……という状態にしていけるかどうか。
 これが、今後の地方・地方都市の移動を豊かにできるかどうかのポイントになるでしょうね。


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下館レイル倶楽部・代表
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男性
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自己紹介:
 「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
 しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
 公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!

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