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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

【上毛電鉄】国と沿線自治体が近代化に約22億円支援

■インフラ近代化のほか、2023年度から2027年度にかけて車両更新を実施予定

 群馬県の桐生市と前橋市を東西に結ぶ「上毛電鉄(じょうもうでんてつ)」の近代化のため、国と沿線自治体が総額総額22億6356万円の支援を行うというニュース。
 今回の支援は2023〜27年度の5年間に行われる6期目の支援で、国は約4.3億円、群馬県は約9.5億円、前橋市は約5.4億円、桐生市は約2.6億円、みどり市は約1.2億万円を支出。
 鉄道を「地域を支える公共インフラ」と位置づけて、しっかり投資しようという意欲が感じられますね。

・上毛電鉄に新たな支援策。「群馬型上下分離」とは何か(タビリス 2023年4月13日)
 https://tabiris.com/archives/jomoshien2023/


▲ 典型的なクルマ社会の群馬県ですが、上毛電鉄は「地域にとって不可欠の公共インフラ」として支援を続けています。

 6期目の主な支援内容は……。


・車両更新(9億円/3億円×3年間)
・踏切保安装置更新(1.35億円)
・レール重軌条化(1億円)
・架線柱更新(0.75億円)


 鉄道趣味的に気になるのは、やはり何といっても「車両更新」でしょうね。
 新車の導入が計画されたこともあったのですが、どうやら東京メトロから中古車両を導入することになるようです。
 具体的な話はまだ分かっていないのですが、現行の「700型」(元・京王電鉄「3000系」)が車体長18.5mであることから、18m級の車両になるのでは……と。


▲ 東は桐生市、西は前橋市を結ぶ「上毛電鉄」。現在の車両は「700型」で、これを今年度から他社から導入する中古車料によって更新する計画です。

 ……となると、中古車両の「出物」候補としては、後継車両によって更新が始まっている「丸ノ内線」用の「02系」や「日比谷線」用の「03系」ということになります。
 「02系」なら、軌間1,435mm・直流600V(第三軌条から集電)ですので、台車の履き替えやパンタグラフ集電への変更など、改造箇所が多くなります。
 「03系」なら、軌間1,067mm・直流1,500V用の電車なので、改造箇所は比較的少なくて済むでしょう。

■「群馬型上下分離」とは?

 ところで、この記事のタイトルにもなっている「群馬型上下分離方式」とは? 一般的な「上下分離方式」とは何が違うのでしょうか。

 一般的な「上下分離方式」では、運行会社は「上」にあたる部分、つまり運行サービスに専念して、「下」にあたるインフラ部分の建設・整備などの経費を公的にまかなう方式です。このため、運行主体と鉄道施設の保有主体は別になります。
 2023年8月に「優先整備区間」が開業予定の「宇都宮ライトレール」(芳賀・宇都宮LRT)は、この方式で整備されています。

 これに対して「群馬型上下分離方式」は、「上」と「下」には分離せず、「下」にあたるインフラ部分の経費を公的に支援する方式です。
 記事では「費用負担における上下分離」と表現していて、これはうまいたとえだと思います。


▲ 上毛電鉄だけでなく、わたらせ渓谷鐵道への支援も行われます。

 上毛電鉄の場合は、5年ごとに同社が「経営再建計画」を策定して、群馬県や沿線自治体が構成している「上毛線再生等検討協議会」が検討・協議し、「上毛線再生基本方針」を取りまとめて支援を実施する、という流れです。
 最初の「経営再建計画」を策定したのが1998年度で、過去25年(5期)に70億円弱の公的支援を実施しています。単純計算ですが、年平均2.8億円の支援ということになります。
 ちなみに、地平レベルの4車線バイパスを整備する場合、約70億円ではせいぜい3klm程度しか整備できません。この金額で全長25.4kmに及ぶ中量輸送機関を25年に渡って支えることができているわけで、これはかなり有意義な投資だといえます。


▲ 自転車をそのまま車内に持ち込める「サイクルトレイン」が定着しているのも、上毛電鉄の大きな特色の一つ。公共交通と自転車の組み合わせで、移動範囲が劇的に拡大します。

 群馬県も、茨城県や栃木県と同様、過度なマイカー依存と郊外への市街地拡散が進行してしまい、今後のまちづくりを考える上で大きな課題を抱えています(郊外への市街地拡散=行政コストの増大に直結するためです)。
 その群馬県で、古くから地域を支えてきた鉄道の近代化を公的に支援して、引き続き地域の重要な社会インフラとして支えて続けていく姿勢を明確にしていることは、まことに意義深いことだと思います。

 なお、上毛電鉄は国内における「サイクルトレイン」のパイオニアと言って良い存在で、日常的に自転車を電車に持ち込んで移動する乗客が多くいることでも知られます。
 自宅最寄りの駅までは自転車で、駅から駅は電車で自転車ごと移動し、目的地最寄りの駅から再び自転車で移動する「上毛スタイル」は、これからもっと多くの地域で普及していくことが望まれている姿でもあります。

※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。

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 「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
 しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
 公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!

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