下館レイル倶楽部
真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)
祝・開業!! 芳賀・宇都宮LRT「優先整備区間」
- 2023/08/27 (Sun)
- 【特集:宇都宮LRT】 |
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■ついに開業!! 国内初の完全新規LRT
構想段階から数えて足かけ約30年、ついに芳賀・宇都宮LRTが開業しました。
2023年8月26日(土)に先行開業したのは、JR宇都宮駅から大規模商業施設「ベルモール」方面に東進し、「清原工業団地」と「ゆいの杜」エリアを経由して、芳賀町の「本田技研」北門付近まで、約14.6kmの「優先整備区間」。
電車を運行するのは、官民共同で設立された運行会社「宇都宮ライトレール」で、開業時には朝夕ラッシュ時は8分ごと、日中は12分ごとの暫定的なダイヤで運行しています。
▲ 8月26日(土)、午前中に「開業式」と「発車式」と各種記念イベントが行われ、一般乗車は15時からスタート! とちぎテレビは当日2時間半の生中継特番を放送!
元々は、大規模な内陸型工業団地である「清原工業団地」や「芳賀工業団地」などへの交通手段を確保するため、何らかの軌道系公共交通機関が必要……ということで、整備構想が浮上。
当時は国鉄が末期的状況を迎えていて、鉄道での整備というのはハードルが高かったこともあり、道路予算で整備できる「新交通システム」での整備が念頭にあったようです。
(注:この構想より前の段階で、国鉄末期の新線整備計画の中に、宇都宮駅からこれらの工業団地を経由し、市塙~茂木~常陸大宮~金砂郷~大甕~日立港を結ぶ「常野線」構想があったようです)
▲ 紆余曲折を経て、これまで路面電車が走ったことがなかった地方都市に、新規のLRT(軽量軌道交通)が開業したことは快挙! こちらは、宇都宮市がまとめたこれまでの経緯を振り返る動画です。
「新交通システム」とは、具体的にはモノレールやゴムタイヤ式の案内軌条交通(AGT)です。
しかし、その頃ドイツやフランスでは路面電車の近代化・長編成化・鉄軌直通などが実現し、北米ではライトレールが相次ぎ登場するなど、基本的には地平レベルを走る鉄軌道、すなわちLRT(軽量軌道交通)が普及し始めていました。
地平レベルで整備すれば良いので、モノレールやAGTより建設費が抑制でき、しかもバリアフリーで駅施設も簡素化できます。さらに、規格さえ共通であれば既存の鉄軌道に乗り入れることが可能というのは大きなポイントです。
その後、BRT(バス高速輸送システム)とも比較検討を行った上で、宇都宮が導入する交通モードは諸々の波及効果や将来拡張性なども織り込んだうえで、LRT(軽量軌道交通)に絞り込まれました。
▲ 8月26日(土)、日テレNEWS24では、「発車式」の模様を約1時間に渡って生中継!
今回LRTが先行開業した駅東エリアには、大規模ショッピングセンター「ベルモール」や、「平出工業団地」、「清原工業団地」、東隣の芳賀町には「芳賀工業団地」、「芳賀・高根沢工業団地」などがあり、従来は速達性と定時運行性が高い公共交通が未整備であったため、大半の従業員がマイカー通勤を余儀なくされていました。
従業員の数ですが、「ベルモール」「清原工業団地」「芳賀工業団地」「芳賀・高根沢工業団地」に限っても約3万3千人(「県央広域都市圏生活行動実態調査結果と需要予測結果について」)です。つまり、約3万台以上のマイカーが通勤時間帯に流入することで、日常的に深刻な渋滞を引き起こしてしまった、といえます。
この深刻な渋滞を緩和し、マイカー以外の「頼りになる交通手段」を確保することも、芳賀・宇都宮LRTを整備する大きな目的になっていました。
本当は東西一体でLRT整備が実現できれば良かったのですが、上記のような駅東エリアの交通事情を改善することは喫緊の課題であったため、駅東の「優先整備区間」を先行開業するということになった……というわけです。
▲ 開業初日(8月26日)は開業式典が終わった後に一般乗車が可能となり、夜になっても大勢の乗客がLRTを利用していました。
「軸」となる基幹交通であるLRTの開業によって、駅東エリアの発展はますます加速していきます。すでに地価はLRT沿線の駅東エリアの方が高くなり、しかもまだまだ上昇傾向が続いています。
一方、駅西エリアは地価が下がり始めています。一時期に比べると「オリオン通り」などの人出は増えてきたのですが、このまま「何もしない」と、街の「重心」はどんどん東へ東へと転移してしまうでしょう。いくら駅前通りにバスがたくさん走っていても、どんなに駐車場があっても、街の賑わいを取り戻すことは困難です。
駅東エリアの活況ぶりは、遠からず駅西エリアの変革を促していくことになるでしょう。やはり明確な「軸」となる交通機関があるかどうかが街の発展に大きな影響を与えるわけで、駅西エリアのLRT「整備区間」の着工に向けた動きが今後加速していくものと考えます。
宇都宮市や芳賀町だけでなく、当地(筑西市)を含む周辺エリア一帯の住民にとっても、宇都宮の交通事情が大きく改善することは、通勤・通学・買い物などの利便性向上に直結する大きな関心事です。
また、こうして近隣の地方主要都市で革新的な交通施策が具現化することは、周辺自治体にとっても貴重かつ重要な「お手本」になるでしょう。これまでは様子見だった自治体でも、今後はLRT整備に向けた具体的な動きが出てくるのではないかと思います。
何はともあれ、まずはぜひ現地で「試乗」することをオススメします!
※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。
構想段階から数えて足かけ約30年、ついに芳賀・宇都宮LRTが開業しました。
2023年8月26日(土)に先行開業したのは、JR宇都宮駅から大規模商業施設「ベルモール」方面に東進し、「清原工業団地」と「ゆいの杜」エリアを経由して、芳賀町の「本田技研」北門付近まで、約14.6kmの「優先整備区間」。
電車を運行するのは、官民共同で設立された運行会社「宇都宮ライトレール」で、開業時には朝夕ラッシュ時は8分ごと、日中は12分ごとの暫定的なダイヤで運行しています。
▲ 8月26日(土)、午前中に「開業式」と「発車式」と各種記念イベントが行われ、一般乗車は15時からスタート! とちぎテレビは当日2時間半の生中継特番を放送!
元々は、大規模な内陸型工業団地である「清原工業団地」や「芳賀工業団地」などへの交通手段を確保するため、何らかの軌道系公共交通機関が必要……ということで、整備構想が浮上。
当時は国鉄が末期的状況を迎えていて、鉄道での整備というのはハードルが高かったこともあり、道路予算で整備できる「新交通システム」での整備が念頭にあったようです。
(注:この構想より前の段階で、国鉄末期の新線整備計画の中に、宇都宮駅からこれらの工業団地を経由し、市塙~茂木~常陸大宮~金砂郷~大甕~日立港を結ぶ「常野線」構想があったようです)
▲ 紆余曲折を経て、これまで路面電車が走ったことがなかった地方都市に、新規のLRT(軽量軌道交通)が開業したことは快挙! こちらは、宇都宮市がまとめたこれまでの経緯を振り返る動画です。
「新交通システム」とは、具体的にはモノレールやゴムタイヤ式の案内軌条交通(AGT)です。
しかし、その頃ドイツやフランスでは路面電車の近代化・長編成化・鉄軌直通などが実現し、北米ではライトレールが相次ぎ登場するなど、基本的には地平レベルを走る鉄軌道、すなわちLRT(軽量軌道交通)が普及し始めていました。
地平レベルで整備すれば良いので、モノレールやAGTより建設費が抑制でき、しかもバリアフリーで駅施設も簡素化できます。さらに、規格さえ共通であれば既存の鉄軌道に乗り入れることが可能というのは大きなポイントです。
その後、BRT(バス高速輸送システム)とも比較検討を行った上で、宇都宮が導入する交通モードは諸々の波及効果や将来拡張性なども織り込んだうえで、LRT(軽量軌道交通)に絞り込まれました。
▲ 8月26日(土)、日テレNEWS24では、「発車式」の模様を約1時間に渡って生中継!
今回LRTが先行開業した駅東エリアには、大規模ショッピングセンター「ベルモール」や、「平出工業団地」、「清原工業団地」、東隣の芳賀町には「芳賀工業団地」、「芳賀・高根沢工業団地」などがあり、従来は速達性と定時運行性が高い公共交通が未整備であったため、大半の従業員がマイカー通勤を余儀なくされていました。
従業員の数ですが、「ベルモール」「清原工業団地」「芳賀工業団地」「芳賀・高根沢工業団地」に限っても約3万3千人(「県央広域都市圏生活行動実態調査結果と需要予測結果について」)です。つまり、約3万台以上のマイカーが通勤時間帯に流入することで、日常的に深刻な渋滞を引き起こしてしまった、といえます。
この深刻な渋滞を緩和し、マイカー以外の「頼りになる交通手段」を確保することも、芳賀・宇都宮LRTを整備する大きな目的になっていました。
本当は東西一体でLRT整備が実現できれば良かったのですが、上記のような駅東エリアの交通事情を改善することは喫緊の課題であったため、駅東の「優先整備区間」を先行開業するということになった……というわけです。
▲ 開業初日(8月26日)は開業式典が終わった後に一般乗車が可能となり、夜になっても大勢の乗客がLRTを利用していました。
「軸」となる基幹交通であるLRTの開業によって、駅東エリアの発展はますます加速していきます。すでに地価はLRT沿線の駅東エリアの方が高くなり、しかもまだまだ上昇傾向が続いています。
一方、駅西エリアは地価が下がり始めています。一時期に比べると「オリオン通り」などの人出は増えてきたのですが、このまま「何もしない」と、街の「重心」はどんどん東へ東へと転移してしまうでしょう。いくら駅前通りにバスがたくさん走っていても、どんなに駐車場があっても、街の賑わいを取り戻すことは困難です。
駅東エリアの活況ぶりは、遠からず駅西エリアの変革を促していくことになるでしょう。やはり明確な「軸」となる交通機関があるかどうかが街の発展に大きな影響を与えるわけで、駅西エリアのLRT「整備区間」の着工に向けた動きが今後加速していくものと考えます。
宇都宮市や芳賀町だけでなく、当地(筑西市)を含む周辺エリア一帯の住民にとっても、宇都宮の交通事情が大きく改善することは、通勤・通学・買い物などの利便性向上に直結する大きな関心事です。
また、こうして近隣の地方主要都市で革新的な交通施策が具現化することは、周辺自治体にとっても貴重かつ重要な「お手本」になるでしょう。これまでは様子見だった自治体でも、今後はLRT整備に向けた具体的な動きが出てくるのではないかと思います。
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HN:
下館レイル倶楽部・代表
性別:
男性
趣味:
鉄道、鉄道模型、ミリタリーなど
自己紹介:
「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!
・mixi(ミクシィ)
・Facebook(フェイスブック)
・Twitter(ツイッター)
・ご連絡&お問い合わせメールアドレス
nal@sainet.or.jp(←「@」を半角文字にしてお送りください)
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