下館レイル倶楽部
真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)
運賃下げたら乗客増加! 神戸の地下鉄「北神線」
■運賃引き下げ&運賃体系一体化の効果は絶大!
神戸市の中心部と北部を結ぶ「北神線(ほくしんせん)」の利用者数が、運賃を引き下げた効果で3割増加したとのこと。
これは大きな効果です。
・地下鉄運賃下げたら乗客数3割増 神戸の「北神線」(日本経済新聞 2023年3月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF220O50S3A220C2000000/
▲ 運賃引き下げにより利用者が3割増加した神戸市営地下鉄北神線。
北神線は、かつて「北神急行電鉄」として運行していた地下鉄路線で、1988年に開業。軌間1435mm、直流1500Vの電化路線で、全線複線、最急勾配33.3‰(パーミル)。
六甲山地を貫く「北神トンネル」(約7.3km)によって、神戸電鉄「有馬線」の「谷上(たにがみ)」駅から、新幹線停車駅「新神戸(しんこうべ)」駅を最短ルートで接続。「新神戸」駅から神戸市営地下鉄「西神・山手線」に乗り入れて、神戸市中心街へと短絡する新ルートとして整備されました。
■鉄軌道は公共インフラ! 「公共」交通をどう支えるかが地域活性化のカギにも
しかし、距離が短い割に運賃が割高であること、神戸市営地下鉄に乗り入れると運賃が加算されることから、利用者はなかなか増加せず。
状況が変わったのは、神戸市北区の人口増加と地域振興を図りたい神戸市が、この路線のポテンシャルに着目したこと。本路線を神戸市営地下鉄と一体運営することで、北区の交通利便性を高めて、沿線の活性化を推進することになりました。
こうして2020年6月、神戸市営地下鉄「北神線」が誕生しました。
▲ 運賃体系の一体化に加えて、運賃そのものも引き下げ。公共交通は「地域が支える」、言い換えれば行政が公共交通の運営を下支えする(=応分の経費を負担する)決断をしたからこそ実現した、といえます。
神戸市は、阪急電鉄グループから「北神線」のインフラを198億円で丸ごと譲受。運賃体系を市営地下鉄ネットワークに組み込むことで、区間によっては市営化によって運賃がほぼ半額に。定期券も大幅値下げになります。
約200億円という大型投資ですから、異論もあったでしょう。しかし、それによって確実に市民生活の質が向上しますから、いわば「損して得取れ」の最たる例だといえます。
■増えた乗客はどこから……?
ところで、地下鉄の利便性が大幅に高まったのは良いとして、増えた乗客は一体どこから?
運賃低廉化に刺激されて新規に電車を利用するようになった人がいる一方、これまで運賃的な優位性があった神戸電鉄の利用者が「北神線」経由に切り換えた割合もそれなりにあるでしょう。
神戸電鉄は、有馬温泉に向かう「有馬線(ありません)」の沿線は開発が進んでいて利用者が多い一方、途中で分岐する「粟生線(あおせん)」は経営環境が芳しくありません。
▲ 経営環境が芳しくない神戸電鉄「粟生線」。将来に渡って持続できるよう、沿線ではさまざまな取り組みが行われています。
従来は「有馬線」を乗り通して神戸の中心市街地に向かっていた利用者が、「谷上」駅から「北神線」経由で神戸の中心市街地に向かうようになると、その分の運賃収入が減少します。
(「つくばエクスプレス(TX)」開業後、「守谷」駅での乗り換え利用が増えて減収となった関東鉄道「常総線」の状況に似ているといえます)
新時代の交通まちづくりを推進する神戸市が、長年市の発展に貢献してきた神戸電鉄をどう捉え、どう支えていくのか。
今後はこちらにも注目したいですね。
※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。
神戸市の中心部と北部を結ぶ「北神線(ほくしんせん)」の利用者数が、運賃を引き下げた効果で3割増加したとのこと。
これは大きな効果です。
・地下鉄運賃下げたら乗客数3割増 神戸の「北神線」(日本経済新聞 2023年3月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF220O50S3A220C2000000/
▲ 運賃引き下げにより利用者が3割増加した神戸市営地下鉄北神線。
北神線は、かつて「北神急行電鉄」として運行していた地下鉄路線で、1988年に開業。軌間1435mm、直流1500Vの電化路線で、全線複線、最急勾配33.3‰(パーミル)。
六甲山地を貫く「北神トンネル」(約7.3km)によって、神戸電鉄「有馬線」の「谷上(たにがみ)」駅から、新幹線停車駅「新神戸(しんこうべ)」駅を最短ルートで接続。「新神戸」駅から神戸市営地下鉄「西神・山手線」に乗り入れて、神戸市中心街へと短絡する新ルートとして整備されました。
■鉄軌道は公共インフラ! 「公共」交通をどう支えるかが地域活性化のカギにも
しかし、距離が短い割に運賃が割高であること、神戸市営地下鉄に乗り入れると運賃が加算されることから、利用者はなかなか増加せず。
状況が変わったのは、神戸市北区の人口増加と地域振興を図りたい神戸市が、この路線のポテンシャルに着目したこと。本路線を神戸市営地下鉄と一体運営することで、北区の交通利便性を高めて、沿線の活性化を推進することになりました。
こうして2020年6月、神戸市営地下鉄「北神線」が誕生しました。
▲ 運賃体系の一体化に加えて、運賃そのものも引き下げ。公共交通は「地域が支える」、言い換えれば行政が公共交通の運営を下支えする(=応分の経費を負担する)決断をしたからこそ実現した、といえます。
神戸市は、阪急電鉄グループから「北神線」のインフラを198億円で丸ごと譲受。運賃体系を市営地下鉄ネットワークに組み込むことで、区間によっては市営化によって運賃がほぼ半額に。定期券も大幅値下げになります。
約200億円という大型投資ですから、異論もあったでしょう。しかし、それによって確実に市民生活の質が向上しますから、いわば「損して得取れ」の最たる例だといえます。
■増えた乗客はどこから……?
ところで、地下鉄の利便性が大幅に高まったのは良いとして、増えた乗客は一体どこから?
運賃低廉化に刺激されて新規に電車を利用するようになった人がいる一方、これまで運賃的な優位性があった神戸電鉄の利用者が「北神線」経由に切り換えた割合もそれなりにあるでしょう。
神戸電鉄は、有馬温泉に向かう「有馬線(ありません)」の沿線は開発が進んでいて利用者が多い一方、途中で分岐する「粟生線(あおせん)」は経営環境が芳しくありません。
▲ 経営環境が芳しくない神戸電鉄「粟生線」。将来に渡って持続できるよう、沿線ではさまざまな取り組みが行われています。
従来は「有馬線」を乗り通して神戸の中心市街地に向かっていた利用者が、「谷上」駅から「北神線」経由で神戸の中心市街地に向かうようになると、その分の運賃収入が減少します。
(「つくばエクスプレス(TX)」開業後、「守谷」駅での乗り換え利用が増えて減収となった関東鉄道「常総線」の状況に似ているといえます)
新時代の交通まちづくりを推進する神戸市が、長年市の発展に貢献してきた神戸電鉄をどう捉え、どう支えていくのか。
今後はこちらにも注目したいですね。
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HN:
下館レイル倶楽部・代表
性別:
男性
趣味:
鉄道、鉄道模型、ミリタリーなど
自己紹介:
「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!
・mixi(ミクシィ)
・Facebook(フェイスブック)
・Twitter(ツイッター)
・ご連絡&お問い合わせメールアドレス
nal@sainet.or.jp(←「@」を半角文字にしてお送りください)
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