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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

【阪堺電軌】堺市が50億円の支援策提示/上下分離方式導入も

 遠方の話題ではありますが、気になる話ですのでこちらでも取り上げます。

 大阪と堺を結ぶ「阪堺電軌(はんかいでんき)という路面電車があります。
 昔ながらのスタイルで走り続けてきた路線で、ノスタルジーを感じさせるともいえるのですが、言い換えれば設備も車両も老朽化していました。
 近年はすっかり輸送人員が減少してしまい、存廃問題が浮上する事態に。

 そこで、堺市では以前からの弱点であった市の東西方向を結ぶ新たな公共交通機関としてLRTを新設することを決め、阪堺電軌と接続・乗り入れを行って一体運営で活性化しよう……という計画を打ち出しました。
 しかし、昨年行われ多市長選の結果、LRT計画中止を掲げた候補者が当選し、実現寸前と思われていたLRT新設が頓挫。
 LRT計画が中止となったまま何も手を打たないと、阪堺電軌は廃線の危機という状況に追い込まれました。

 新市長は当選後に「大阪方面からの地下鉄延伸」など、到底実現不可能な構想をぶち上げていたりしたのですが、ここに来て阪堺電軌存続を優先するような現実的な方向に舵を切ったのでしょうか。
 中止としたLRT計画とは別に、阪堺電軌に10年間で50億円の支援を行い、設備と車両を近代化することでLRT化してはどうかと提案したようです。

・廃線の危機-大阪の路面電車「阪堺線」に堺市が50億円支援案(MSN産経 2010年7月1日)
 http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/100701/osk1007011140003-n1.htm

・堺市 阪堺に50億円提示 支援10年間 値下げや停留所増設(読売新聞 2010年7月1日)
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20100701-OYT8T00092.htm

・堺市 阪堺電車存続のため 市が50億円支援案(「路面電車とLRTの館」 2010年7月4日)
 http://www.urban.ne.jp/home/yaman/news96.htm


 記事によると、インフラや車両などを堺市が買い取り、阪堺電軌は運行を行う「公設民営方式」の導入についても、積極的に検討する模様です。


 旧態依然とした「チンチン電車」のままではジリ貧になるのが当たり前で、単に存続させるというだけでなく、これからの社会情勢に対応するLRT化を積極的に進めることが重要です。
 一気にLRT化できるわけではないでしょうし、先の市長選の結果中止となってしまったLRT東西線をどうするのかも考えないといけないのでしょうが……。

 単に堺市だけの問題というだけでなく、古くからの交通インフラをどう再生するのか、(LRT路線を新設できるとすれば)既存の路線と新設路線をどう連携させていくのかという一つのモデルケースにもなりますので、関係各方面にはぜひ前向きな方向での議論を期待したいところです。


 下館界隈には路面電車はないのですが、老朽化して輸送人員が減少した路線……ということであれば、いくつかの地方路線のケースが該当します(しました)。

 従来であれば、老朽化したまま廃止、というのがさも当然であるかのように行われていたわけですが……。
 果たしてそれらが妥当だったのかといえば、必ずしも全てが妥当だったわけではありません。

 近年、日本でもやっと「公設民営方式」や「上下分離方式」という手法が公共交通にも取り入れられるようになり、道路交通と同じく線路などのインフラは公的に整備・管理し、運行だけ民間の交通事業者に任せるという形態が採れるようになりつつあります。
 鉄道・軌道でもっとも資金を要するのがインフラ整備で、この部分を負担しなくて良いとなれば、後は経営努力で何とかなるケースは少なからずあります。

 戦後はクルマ優先の施策が重視されてきましたが、その結果公共交通が衰退してしまい、クルマがないと不便な地域が急増しています。
 そこに住んでいる人は「クルマがあるからいいや」と思うかも知れませんが、余所から来る人にとっては極めて不便な状況となりますし、不便な地元より便利な都心へと人口流出が起こることを食い止めることが出来なくなります。
 公共交通、特に定時運行性と速達性に優れる鉄道がなくなるということは、その沿線の衰退に直結するという実例がごまんとあります。

 クルマが高性能化し、高規格道路がこれだけ整備されている状況下で、それでも「乗ると便利」と思ってもらえる公共交通機関をどう整備していくのか、あるいは既存の交通機関をいかにして現在の情勢に適応するよう再生できるか。
 今後の地方活性化を考えるとき、この問題はかなり重要な意味を持ってきます。


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