下館レイル倶楽部
真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)
【上信電鉄】全線存続して利便性を高める基本方針を決定!
■上毛電鉄・わたらせ渓谷鐵道に続き、全線存続決定!!
群馬県内を走る私鉄3路線のあり方を協議する「沿線地域交通リ・デザイン推進協議会」で、上信電鉄を全線鉄道として存続していく基本方針が2月12日に決定!!
沿線自治体が線路などのインフラ維持・管理を公的投資でまかなう「群馬型上下分離方式」も継続し、インフラ近代化・強化や利便性向上を進めることになりました。
・群馬 上信電鉄 全線存続の基本方針決定 県などの協議会(NHK 2025年2月12日)
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/601802
▲ 群馬県内の私鉄の今後を話し合う「沿線地域交通リ・デザイン推進協議会」で、上信電鉄も存続して利便性を高める方針が決定!
上信電鉄は、高崎駅(高崎市)と下仁田駅(甘楽郡下仁田町)の33.7kmを結ぶ都市近郊鉄道です。沿線には世界文化遺産「富岡製糸場」があるほか、(時間帯などに制約はあるのですが)電車内に自転車をそのまま持ち込める「サイクルトレイン」も実施しています。
とはいえ、年々経営環境は悪化していて、利用者数はピーク時の約4分の1程度に減少しているほか、沿線人口は今後25年で約16%(約7万人)減少すると推定されています。現状も既に厳しいのですが、今後企業の自助努力だけで経営を継続することは困難な状況です。
そんな中でも、沿線住民や利用者の過半数が「鉄道を維持するためなら運賃引き上げも致し方ない」と回答。鉄道ならではの価値である速達性や定時運行性が評価されているといえます。
なお、(1)鉄道を維持した場合、(2)バスに転換した場合、(3)BRT(バス高速輸送システム)に転換した場合について比較した結果、5年間の収支は鉄道の維持した場合がもっとも有効と判定されたとのこと(納得)。
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▲ 左から自社発注車「1000形」、元・JR東日本「107系」の「700形」、元・西武「新101系」の「500形」。車両は多彩!(撮影:オリンパOMD氏)
今後については、(1)現状では運賃の支払いは現金のみとなっているため、キャッシュレスシステムを導入して利便性を向上すること、(2)定時運行性や速達性といった鉄道ならではの強みを活かすため、高速化を図って路線の付加価値を引き上げる取り組みを行いたいとしています。
また、県内の上毛電鉄・わたらせ渓谷鐵道と共に、(3)人材育成や利用促進キャンペーンなどの共同化も検討を進めるとのことです。
(1)については、2019年12月から2020年6月にかけてスマホQRコード決済サービス「PayPay」の試験導入を行ったことから、「PayPay」または同種のキャッシュレス決済を導入するのかも。
(2)については、同線の最高運転速度は85km/hですが、駅間距離が短かったり曲線区間にかかったりして、あまり高速運転できる区間は多くないのが現状です。また、路盤や軌道の状態が芳しくないため、安全性と乗り心地を改善するためにも、路盤や軌道の強化を実施が必要そうです。インフラを強化できれば、高速運転可能な区間が増えるのだろうと思います。
(3)については、それぞれの事業者が独自で行うより、共同で実施する方が効率的だと思います。共同キャンペーンは、2024年秋に群馬県民を対象に実施した「上信電鉄・上毛電気鉄道1日500円乗り放題キャンペーン」という前例があります。スマホアプリ「GunMaas(グンマース)」を利用する電子チケットで、駅や車両側に新規のインフラ投資を行う必要がないことから、今後こうしたサービスの拡充を行っていくのかも知れませんね。
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▲ 今後検討を進める「利用促進キャンペーンの共同化」の雛形になりそうな「上信電鉄・上毛電気鉄道1日500円乗り放題キャンペーン」。スマホアプリを使うフリーチケットサービスなら、比較的容易に実現できそう。
■目的は「残すこと」ではなく「最大限に活用すること」
協議会の会長で、前橋工科大学の吉田樹特任教授は、先日上毛電鉄を鉄道として全線存続する基本方針が決まった際、「残すことがゴールではなく、最大限に生かして地域を良くすることが目標だということを共有できた」と、協議の内容を高く評価しました。
その後、わたらせ渓谷鐵道も上信電鉄も全線存続の基本方針が決まりましたが、いずれも共通しているのは「存続」そのものが目的ではなく、「最大限に生かして地域をよくする」ことが目的だという点です。
これは極めて重要な考え方ですから、今後他地域で公共交通をどうしていくかを検討する際は、ぜひ参考にしてほしいと思います。
※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。
群馬県内を走る私鉄3路線のあり方を協議する「沿線地域交通リ・デザイン推進協議会」で、上信電鉄を全線鉄道として存続していく基本方針が2月12日に決定!!
沿線自治体が線路などのインフラ維持・管理を公的投資でまかなう「群馬型上下分離方式」も継続し、インフラ近代化・強化や利便性向上を進めることになりました。
・群馬 上信電鉄 全線存続の基本方針決定 県などの協議会(NHK 2025年2月12日)
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/601802
▲ 群馬県内の私鉄の今後を話し合う「沿線地域交通リ・デザイン推進協議会」で、上信電鉄も存続して利便性を高める方針が決定!
上信電鉄は、高崎駅(高崎市)と下仁田駅(甘楽郡下仁田町)の33.7kmを結ぶ都市近郊鉄道です。沿線には世界文化遺産「富岡製糸場」があるほか、(時間帯などに制約はあるのですが)電車内に自転車をそのまま持ち込める「サイクルトレイン」も実施しています。
とはいえ、年々経営環境は悪化していて、利用者数はピーク時の約4分の1程度に減少しているほか、沿線人口は今後25年で約16%(約7万人)減少すると推定されています。現状も既に厳しいのですが、今後企業の自助努力だけで経営を継続することは困難な状況です。
そんな中でも、沿線住民や利用者の過半数が「鉄道を維持するためなら運賃引き上げも致し方ない」と回答。鉄道ならではの価値である速達性や定時運行性が評価されているといえます。
なお、(1)鉄道を維持した場合、(2)バスに転換した場合、(3)BRT(バス高速輸送システム)に転換した場合について比較した結果、5年間の収支は鉄道の維持した場合がもっとも有効と判定されたとのこと(納得)。
▲ 左から自社発注車「1000形」、元・JR東日本「107系」の「700形」、元・西武「新101系」の「500形」。車両は多彩!(撮影:オリンパOMD氏)
今後については、(1)現状では運賃の支払いは現金のみとなっているため、キャッシュレスシステムを導入して利便性を向上すること、(2)定時運行性や速達性といった鉄道ならではの強みを活かすため、高速化を図って路線の付加価値を引き上げる取り組みを行いたいとしています。
また、県内の上毛電鉄・わたらせ渓谷鐵道と共に、(3)人材育成や利用促進キャンペーンなどの共同化も検討を進めるとのことです。
(1)については、2019年12月から2020年6月にかけてスマホQRコード決済サービス「PayPay」の試験導入を行ったことから、「PayPay」または同種のキャッシュレス決済を導入するのかも。
(2)については、同線の最高運転速度は85km/hですが、駅間距離が短かったり曲線区間にかかったりして、あまり高速運転できる区間は多くないのが現状です。また、路盤や軌道の状態が芳しくないため、安全性と乗り心地を改善するためにも、路盤や軌道の強化を実施が必要そうです。インフラを強化できれば、高速運転可能な区間が増えるのだろうと思います。
(3)については、それぞれの事業者が独自で行うより、共同で実施する方が効率的だと思います。共同キャンペーンは、2024年秋に群馬県民を対象に実施した「上信電鉄・上毛電気鉄道1日500円乗り放題キャンペーン」という前例があります。スマホアプリ「GunMaas(グンマース)」を利用する電子チケットで、駅や車両側に新規のインフラ投資を行う必要がないことから、今後こうしたサービスの拡充を行っていくのかも知れませんね。
▲ 今後検討を進める「利用促進キャンペーンの共同化」の雛形になりそうな「上信電鉄・上毛電気鉄道1日500円乗り放題キャンペーン」。スマホアプリを使うフリーチケットサービスなら、比較的容易に実現できそう。
■目的は「残すこと」ではなく「最大限に活用すること」
協議会の会長で、前橋工科大学の吉田樹特任教授は、先日上毛電鉄を鉄道として全線存続する基本方針が決まった際、「残すことがゴールではなく、最大限に生かして地域を良くすることが目標だということを共有できた」と、協議の内容を高く評価しました。
その後、わたらせ渓谷鐵道も上信電鉄も全線存続の基本方針が決まりましたが、いずれも共通しているのは「存続」そのものが目的ではなく、「最大限に生かして地域をよくする」ことが目的だという点です。
これは極めて重要な考え方ですから、今後他地域で公共交通をどうしていくかを検討する際は、ぜひ参考にしてほしいと思います。
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下館レイル倶楽部・代表
性別:
男性
趣味:
鉄道、鉄道模型、ミリタリーなど
自己紹介:
「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!
・mixi(ミクシィ)
・Facebook(フェイスブック)
・Twitter(ツイッター)
・ご連絡&お問い合わせメールアドレス
nal@sainet.or.jp(←「@」を半角文字にしてお送りください)
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