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下館レイル倶楽部

真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)

【特集:宇都宮LRT】下野新聞「LRTを問う」第6回について

【第6回の概要】2012年11月1日(木)掲載

■議論:市は「受益」示しきれず

 JR宇都宮駅東口と清原工業団地を結ぶ幹線道路は、平日だと朝は2時間以上も大渋滞が発生する。
 清原工業団地に通勤する男性は、LRTは「計画に具体性がないから、現実感がわかない」と語る。
 JR宇都宮駅東口から、会社が自費運行するシャトルバスに乗ると、会社までの所要1時間、読書で時間つぶししているという。

 渋滞を少しでも緩和させようと、企業はシャトルバスの運行を行っているが、これには年間数億円を要している。
 佐藤市長は、不況で各社の収益が悪化する中、シャトルバスの運行経費が重荷となった企業は、(公共交通が整ったもっと便利な土地に)移転してしまうと危機感を募らし、LRT導入を訴える。

 栃木県と宇都宮市が2003年に行った試算では、LRT導入による移動短縮効果は1日約3,700時間、金額に換算すると年間約32億円の節約になるという。
 このように、極めて大きな受益をもたらすことが見込まれているものの、それが市民には十分伝わっているとは言いがたいのが現状で、「市には1,280億円の負債がある」という点を理由に導入に反対する市民もいる。

 宇都宮市長も宇都宮市も、LRT導入に関する初期費用(約380億円)の内、1/2は国が、1/4は県が負担するので、市の負担は1/4(約95億円)と再三説明している。
 しかし、反対する一部市民との溝は埋まらない(注:そもそも聞く耳を持っていないのでは?)。

 LRT導入を推進し、市域内の公共交通ネットワークについて考える市民団体「雷都レールとちぎ」の奥備一彦代表は、反対する人の理由はいつも「赤字だから」「家のそばを通らないから」ばかりだと指摘。
 街の魅力向上、環境負荷軽減効果などの波及効果は無視され、ハコモノ公共事業と同列に語られてきたことを嘆く。

 一方で奥備代表は、情報を十分提示できなかった市にも責任があるとも語る。
 宇都宮の将来に期待しているだけに、忸怩たる思いが滲む。

 LRT構想は渡辺文雄知事が打ち出して約20年。
 これを「是とするのか非とするのか」決める市長選が迫る。


【第6回の記事内容について思うこと】

 この「是とするのか非とするのか」という下野新聞の報じ方、これが市民をミスリードする最大の要因だったのかも知れません。
 LRT導入へのハードルがここ数年で相当下がったことを踏まえたうえで、「東西基幹交通としてLRTが適しているかどうか」ならまだ理解できるのですが……。


▲ 米国オレゴン州のポートランド。米国における先進事例の一つで、宇都宮でも参考にしているだろうと思います。LRTと路線バスがうまく連携しています。

 これまで宇都宮市が具体的な計画を示せなかった背景には、既存のバス会社への配慮や、「公共事業は何でも凍結」と言いながら「清原方面の渋滞は新しい橋を作れば解消する」と支離滅裂な発言に終始した、前の県知事に振り回されたこともあるのではないかと推察します。
 今の県知事は、支離滅裂な前知事時代には宇都宮市長だった人物で、このままでは埒があかないと知事選に出馬し、現職を大差で破り当選しています。
 とはいえ、LRTを取り巻く環境はその頃からかなり流動的ではあったので、市も大変だっただろうなあ……と。

 「公共事業が全て悪」というのは暴論だと思います。
 地域の公共交通など、投資効果があるもの(または適切な投資が必要なもの)には「きちんと投資する」(ただし浪費にならないよう監視する)のが本筋だろうと考えます。
 交通不便地域に人・物・金は集まりませんから、これは極めて重要な視点です。


【連載記事「LRTを問う」について】

「LRTを問う」第1回(下野新聞 2012年10月27日)について

「LRTを問う」第2回(下野新聞 2012年10月28日)について

「LRTを問う」第3回(下野新聞 2012年10月29日)について

「LRTを問う」第4回(下野新聞 2012年10月30日)について

「LRTを問う」第5回(下野新聞 2012年10月31日)について

「LRTを問う」第6回(下野新聞 2012年11月1日)について

「LRTを問う」第7回(下野新聞 2012年11月2日)について

「LRTを問う」第8回(下野新聞 2012年11月3日)について


 なお、この特集はあくまでも私自身が見聞きしたことについて、感じたことや考えたことを率直に書き綴ったものであり、特定の候補者を応援したり、特定の候補者への投票を呼びかけるものではありません。

 記載内容は、私自身の「ツィッター」でのつぶやきがベースです。
 既にLRTについてよくご存じの方はもちろん、LRTについてあまり詳しくない人・興味がなかった人にも「そうなんだ」と思ってもらえるように、国内外の先進事例や、論拠となる数値をできる限り示して説明するようにしています。


※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。


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