下館レイル倶楽部
真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)
【オススメ】『乗って残したい… 赤字ローカル線は今?』
- 2010/12/25 (Sat)
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鉄道雑誌の元編集者で、現在はフリーの編集・ライターとして活動する「小関 秀彦」氏が監修した力作が『乗って残したい… 赤字ローカル線は今?』です。
本の中身は、まさにタイトル通り。
JR各社や第三セクター鉄道の地方路線の現状を、路線ごとの輸送密度や歴史的背景、現在の状況などを踏まえて丁寧に取り上げています。
本書の著者は、地方路線が苦境に喘ぐのは「クルマ依存の深刻化」と「郊外化」、「加速する少子化」、それに「地方から都心への人口流出」が主因であると分析。
社会構造の変化が原因となっている以上、もはや鉄道会社単独の努力だけでは解決が難しいわけで、行政の積極的支援、ひいては国の交通政策の抜本的な改善が必要と指摘しています。
国鉄末期に相次いだ、いわゆる「赤字」ローカル線の廃止。
しかし今、その当時よりも輸送密度が低い路線が全国にはゴロゴロしているというのが現状です。
鉄道はバスとは異なり、専用ルートを持つ交通機関であり、手続き一つで簡単に運行ルートを変えたり廃止・復活が行えるバスとは異なり、一度廃止してしまうと事実上二度と復活させることができません。
このため、目先の黒字・赤字の議論だけでなく、その路線があることによる社会的便益がどの程度あるのか(その路線がなくなると、どの程度の社会的便益を損なうことになるのか)という部分までしっかり見ないといけません。
鉄道最大の強みが、道路交通と隔離していることに起因する「定時運行性の高さ」で、悪天候や事故などのトラブルがない限り、基本的には時間通りに走って来ます。
また、路線のルートや、乗客の行き先にもよるのですが、多くの場合で「速達性の高さ」というのも強みとなります。
ただし、地方でも高規格道路が相次ぎ造られていて、クルマの走行速度が大幅に向上していたり、短絡ルートの開通により鉄道より走行距離が短くなっている場合は、鉄道の速達性は相対的に低下することがあります。
また、鉄道の近代化が遅れていて運行速度が遅い場合もあり、こうした場合、必ずしも速達性で優位ではないケースもあります。
とはいえ、運賃が適正レベルであれば、定時運行性と速達性が高く、一定以上の運行頻度が確保されている路線の価値は高いといえますし、適正運賃・速達性で不十分な路線は行政も何らかの対処をする必要があるといえます。
鉄道の価値の一つは、そこに線路があり、決まった時間に列車が来るという「将来確実性」、いわば「未来への安心感」ではないかと考えます。
これは鉄道趣味的な観点からではなく、利用者としての立場から言えることですが、たとえばアパート探しをするとき、私なら将来確実性がない地域(鉄道がなく、駅もない地域)へは住もうと思いません。
その路線の運行頻度があまりに低い(1日数本しか走らないとか)のは困りますが、もし日中でも1時間に2本以上の列車が走る路線であり、速達性も高い路線であれば、乗客の利便性だけでなく、沿線価値も高まるといえます。
(逆に言えば、そうでない路線の沿線価値は下がるでしょうし、そもそも鉄道が走っていない地域はもっと価値が下がるでしょうね)
普段クルマに頼り切ってしまうと、ともするとこうしたことを忘れてしまうのだろうと思いますが、その地域の将来のために不可欠な要素の一つなのではないか……そんな風に考えています。
前置きが長くなりましたが、この本が懐古主義的な観点からではなく、「これから」のローカル線をどうしていけば良いのかを考えるきっかけになれば……と思っています。
※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。
本の中身は、まさにタイトル通り。
JR各社や第三セクター鉄道の地方路線の現状を、路線ごとの輸送密度や歴史的背景、現在の状況などを踏まえて丁寧に取り上げています。
本書の著者は、地方路線が苦境に喘ぐのは「クルマ依存の深刻化」と「郊外化」、「加速する少子化」、それに「地方から都心への人口流出」が主因であると分析。
社会構造の変化が原因となっている以上、もはや鉄道会社単独の努力だけでは解決が難しいわけで、行政の積極的支援、ひいては国の交通政策の抜本的な改善が必要と指摘しています。
国鉄末期に相次いだ、いわゆる「赤字」ローカル線の廃止。
しかし今、その当時よりも輸送密度が低い路線が全国にはゴロゴロしているというのが現状です。
鉄道はバスとは異なり、専用ルートを持つ交通機関であり、手続き一つで簡単に運行ルートを変えたり廃止・復活が行えるバスとは異なり、一度廃止してしまうと事実上二度と復活させることができません。
このため、目先の黒字・赤字の議論だけでなく、その路線があることによる社会的便益がどの程度あるのか(その路線がなくなると、どの程度の社会的便益を損なうことになるのか)という部分までしっかり見ないといけません。
鉄道最大の強みが、道路交通と隔離していることに起因する「定時運行性の高さ」で、悪天候や事故などのトラブルがない限り、基本的には時間通りに走って来ます。
また、路線のルートや、乗客の行き先にもよるのですが、多くの場合で「速達性の高さ」というのも強みとなります。
ただし、地方でも高規格道路が相次ぎ造られていて、クルマの走行速度が大幅に向上していたり、短絡ルートの開通により鉄道より走行距離が短くなっている場合は、鉄道の速達性は相対的に低下することがあります。
また、鉄道の近代化が遅れていて運行速度が遅い場合もあり、こうした場合、必ずしも速達性で優位ではないケースもあります。
とはいえ、運賃が適正レベルであれば、定時運行性と速達性が高く、一定以上の運行頻度が確保されている路線の価値は高いといえますし、適正運賃・速達性で不十分な路線は行政も何らかの対処をする必要があるといえます。
鉄道の価値の一つは、そこに線路があり、決まった時間に列車が来るという「将来確実性」、いわば「未来への安心感」ではないかと考えます。
これは鉄道趣味的な観点からではなく、利用者としての立場から言えることですが、たとえばアパート探しをするとき、私なら将来確実性がない地域(鉄道がなく、駅もない地域)へは住もうと思いません。
その路線の運行頻度があまりに低い(1日数本しか走らないとか)のは困りますが、もし日中でも1時間に2本以上の列車が走る路線であり、速達性も高い路線であれば、乗客の利便性だけでなく、沿線価値も高まるといえます。
(逆に言えば、そうでない路線の沿線価値は下がるでしょうし、そもそも鉄道が走っていない地域はもっと価値が下がるでしょうね)
普段クルマに頼り切ってしまうと、ともするとこうしたことを忘れてしまうのだろうと思いますが、その地域の将来のために不可欠な要素の一つなのではないか……そんな風に考えています。
前置きが長くなりましたが、この本が懐古主義的な観点からではなく、「これから」のローカル線をどうしていけば良いのかを考えるきっかけになれば……と思っています。
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プロフィール
HN:
下館レイル倶楽部・代表
性別:
男性
趣味:
鉄道、鉄道模型、ミリタリーなど
自己紹介:
「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!
・mixi(ミクシィ)
・Facebook(フェイスブック)
・Twitter(ツイッター)
・ご連絡&お問い合わせメールアドレス
nal@sainet.or.jp(←「@」を半角文字にしてお送りください)
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