下館レイル倶楽部
真岡鐵道・関東鉄道常総線・JR水戸線が集まる「下館」を中心に活動する鉄道模型趣味・鉄道趣味の倶楽部です。(2009年6月12日開設)
【宇都宮LRT】とちテレ、市長インタビュー特番を放映(その1)
- 2013/03/03 (Sun)
- 【特集:宇都宮LRT】 |
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2013年2月26日(火)、「とちぎテレビ」でインタビュー特番「100年後にも誇れるまちづくりを ~佐藤栄一宇都宮市長に聞く~」が放映されました。
昨秋の市長選では、対立候補が「LRT反対」を最大の公約に掲げました。
現職は「ネットワーク型コンパクトシティ」実現に向けて地域内交通の拡充などを進めていて、東西基幹交通としてLRTを導入することが最適だと繰り返し説明。選挙戦でも東西基幹交通にLRTを導入し、路線バス再編やデマンド交通拡充による公共交通拡充を最大の公約に掲げました。
その結果、LRT導入を掲げる現職の佐藤栄一氏が圧倒的大差で勝利。
佐藤氏はこれまでの選挙でも公共交通拡充は公約に掲げていましたが、選挙公約で「LRT導入」と明言したのは今回が初めて。
LRT導入が最大の争点となった選挙で、導入を明言した候補が圧勝した意味は重いものがあります。
今回の特番は、3期目に突入した佐藤栄一市長に対するインタビュー形式で番組が進行。
今後宇都宮が持続的に発展していくために必要な政策などについて、佐藤市長が説明しました。
今後の宇都宮市の今後の取り組みは、宇都宮市や栃木県だけにとどまらず、北関東一円、全国の地方都市の将来をも占う極めて重要かつ先進的なものです。
本ブログでは、この番組を視聴できない方のために、番組中の発言内容をまとめ記事をご紹介します。
(※このまとめ記事は、前編の「その1」に続き、後編の「その2」に続きます)
▲ JR宇都宮駅の西口。北関東最大の都市・宇都宮の取り組みは、日本の地方都市の今後を大きく変えるきっかけになると注目を集めています。(クリックすると拡大画像を表示します)。
■「選ばれる街」になるために
これまでの宇都宮市は、道路がどんどん整備され、新幹線もできた。
今後は宇都宮が「選ばれる街」になっていくための方法が大切。
ここ数年では中心市街地での「クリテリウム」を実施し、話題になっている。
餃子を活かしたまちおこしも活発に実施。交流人口が増加している。
行政も民間同様「稼げる」ことが重要。
人口が増え、税収が増えることが重要で、その中で民間企業にも稼いでもらう。行財政改革は着実に進み、これからも市債残高を減らしていく。
■小さな自治体で大きなサービス
他都市との比較では、宇都宮市は全国で2番目に市民一人あたりの市債残高が少なく、職員数も減らしている(7年間で約600人減)。
市債残高は、平成24年9月時点で市民1人あたり約25万円で、他の50万人以上の中核市の中では全国で2番目に少ない。
平成24年5月の人口1万人あたりの市職員の数は、66.8人。50万以上の中核市の中では全国2番目に少ない。
■宇都宮市の今後の課題
宇都宮の今後の課題について。普段に行財政改革を続けつつ、企業が設備投資を行うのと同様に、新たな投資を進めていく。
企業でも売り上げを上げようと思ったときには、ラインを増やして生産を増加させたり、新商品を開発して販路を拡大していく。
宇都宮市も同様に、教育、環境、高齢化社会対応、危機管理など「安全で安心なまちづくり」のために投資を行っていく。
限りある財政の中で、まちづくりは選択と集中が重要で、ネットワーク型コンパクトシティの形成が重要。
宇都宮は416平方kmあるが、全部を開発するのではなく、既に人が住んでいる地域に投資を集約していく。
市内各地に日常生活に困らないコミュニティをそれぞれ集約し、コミュニティ内は地域内交通で移動しやすくする。
他のコミュニティには幹線軸となる公共交通を整備して、相互の行き来を便利にしていく。
■「SMAPなまち」
SMAPのように、宇都宮の各地域がそれぞれ機能しつつ、まとまっても輝くまちづくりが重要。
SMAPのメンバーが単独でもグループでも輝いているように、宇都宮の各コミュニティも、それぞれが単独でも輝きつつ、他のコミュニティと連携することでさらに輝きを増していく。
■7つのビジョン
市長が掲げる「7つのビジョン」。
(1)都市機能を大きく前進、安心・安全の住み良さを
(2)都市農業は今後も産業の柱、食文化・健康、自然環境の礎
(3)健康寿命を伸ばし、自律した生活と老後の安心を
(4)地域内交通・バス路線・LRTによる公共交通が網羅された街作りへ
(5)人間力向上で人が輝く、子どもが伸びやかに育つ
(6)仕事を増やす、新事業を育てる、収入の向上で生活の安定を!
(7)街が面白い、街歩きが楽しい!
■最重要ビジョンは「地域内交通・バス路線・LRTによる公共交通」
栃木県はクルマ社会で、自動車普及率は全国1位の97.8%。
しかし、いつまでもクルマ頼りでいいのか。
クルマが便利なのは当然だし、今後もクルマ利用に配慮した施策は行うが、従来手薄だった公共交通の拡充を今後は重視し、2本柱でやっていく。
従来の宇都宮にとっての弱点だった東西基幹ルートにLRTを整備して、南北方向の鉄道と結節するほか、現状ではJR宇都宮駅に集中しているバスの再編を進めていく。
「魚の骨ネットワーク」。
背骨にあたる部分をLRTとし、小骨の区間をバスが担当する。
■先進事例・富山のレポート
LRTについて、富山市の現状をレポート。
富山市は人口42万人。中核都市の指定を受けている。 富山駅前に「ポートラム」が発着。オシャレな車両。大人200円の均一運賃。ICカード利用だと170円。15分おきのパターンダイヤで、待たずに乗れる。
既存の地方路線を活用し、中心市街地では新たに道路に軌道を設置。ホームと車両の段差がなく、車内もフラット。加速が滑らか、窓が大きくて開放感がある。電停ではフィーダーバスに短距離でスムーズに乗り換え可能。電停は駐輪場が完備し、緩やかなスロープで乗車可。
富山の「ポートラム」は日中でも利用が多く、周辺道路が渋滞するし、時間通りに走り運転本数も多いのLRTが便利との声多数。
富山市におけるLRT導入は、コンパクトシティ実現のための手段だった。
■富山市役所でのインタビュー
富山は平坦な地形、クルマが多く道路整備率が高く、市街地が拡散したことなど、宇都宮と共通項が多い。
クルマ保有率が高く、一戸建て志向が強いため、市街地が拡散してしまった。
富山のコンパクトシティの考え方は、市の中心に市街地を集約するのではなく、「お団子と串」の都市構造。
既存の駅周辺やバス停周辺を「お団子」として、「串」となる鉄道やLRT、バスなど、便利な公共交通でつなげていく。
富山市は県庁所在地の中で中心市街地の人口密度が最も低い都市になってしまった。
中心市街地の衰退、クルマを使えない人に住みにくい街になってしまった。
今後労働者の人口が減少して税収が減ると、富山市の財政力が低下する懸念が強い。
市街地が拡散すると、ゴミの収集や下水道の維持管理など、行政コストがかさんでくる。行政コストは税金でまかわれるため、行政コストが増大すれば、その分住民へのサービス水準が低下してしまう。
また、中心部の衰退、人口の拡散、公共交通の衰退は、将来的にもっと深刻になっていくことが予想される。
そのため、コンパクトシティと集約型のまちづくりが必要だった。
■都市部に住んでもらうために
富山市では「誘導的施策」として
(1)公共交通の活性化
(2)中心市街地の活性化
(3)居住推進の補助事業
を実施。
(3)の補助事業は、中心市街地で一戸建てを建設したりマンションを購入すると、最大50万円を補助するというもの。特に公共交通沿線については、郊外から公共交通沿線に移住するとさらに10万円上乗せ補助を出すなど、「お団子」への誘導を進めている。
誘導的施策の一つとして導入したLRTは、JR時代に比べて運転本数を数倍に増やしサービスレベルを向上させた結果、利用者が倍増。
JR時代は2200人→LRT転換後は4800人に。
高齢者の移動が活発化した。まちづくりと福祉の一体化。
高齢者はLRTができて外出する機会が増えた。
従来は外出を控えていた高齢者が積極的に外出するようになるなど、公共交通の充実が結果的に福祉にも役立っている。
■LRT沿線でない市民も高評価
「ポートラム」の沿線ではない市の南部の住民も、「ポートラム」整備が「良かった」と評価。
おそらく、次は自分の地域の公共交通が活性化するとの期待感がある。
街の都市基盤としてLRT整備・維持を行っていくという富山市の強い思いが理解された。
富山市では住民がLRTの価値を認識し、今後のまちづくりに必要不可欠なものだと理解している。
地元企業がスポンサーになって電停にデザイン壁を設けたり、企業や個人が出資したベンチが出資者のプレート付きで設置されている。
プレートの一つには、こんな文言が。
「LRTは街を楽しくします」
(このまとめ記事は、後編の「その2」に続きます)
※なお、この記事にコメントをつける場合は、記事タイトル下の「CM」部分をクリックすると投稿できます。
昨秋の市長選では、対立候補が「LRT反対」を最大の公約に掲げました。
現職は「ネットワーク型コンパクトシティ」実現に向けて地域内交通の拡充などを進めていて、東西基幹交通としてLRTを導入することが最適だと繰り返し説明。選挙戦でも東西基幹交通にLRTを導入し、路線バス再編やデマンド交通拡充による公共交通拡充を最大の公約に掲げました。
その結果、LRT導入を掲げる現職の佐藤栄一氏が圧倒的大差で勝利。
佐藤氏はこれまでの選挙でも公共交通拡充は公約に掲げていましたが、選挙公約で「LRT導入」と明言したのは今回が初めて。
LRT導入が最大の争点となった選挙で、導入を明言した候補が圧勝した意味は重いものがあります。
今回の特番は、3期目に突入した佐藤栄一市長に対するインタビュー形式で番組が進行。
今後宇都宮が持続的に発展していくために必要な政策などについて、佐藤市長が説明しました。
今後の宇都宮市の今後の取り組みは、宇都宮市や栃木県だけにとどまらず、北関東一円、全国の地方都市の将来をも占う極めて重要かつ先進的なものです。
本ブログでは、この番組を視聴できない方のために、番組中の発言内容をまとめ記事をご紹介します。
(※このまとめ記事は、前編の「その1」に続き、後編の「その2」に続きます)
▲ JR宇都宮駅の西口。北関東最大の都市・宇都宮の取り組みは、日本の地方都市の今後を大きく変えるきっかけになると注目を集めています。(クリックすると拡大画像を表示します)。
■「選ばれる街」になるために
これまでの宇都宮市は、道路がどんどん整備され、新幹線もできた。
今後は宇都宮が「選ばれる街」になっていくための方法が大切。
ここ数年では中心市街地での「クリテリウム」を実施し、話題になっている。
餃子を活かしたまちおこしも活発に実施。交流人口が増加している。
行政も民間同様「稼げる」ことが重要。
人口が増え、税収が増えることが重要で、その中で民間企業にも稼いでもらう。行財政改革は着実に進み、これからも市債残高を減らしていく。
■小さな自治体で大きなサービス
他都市との比較では、宇都宮市は全国で2番目に市民一人あたりの市債残高が少なく、職員数も減らしている(7年間で約600人減)。
市債残高は、平成24年9月時点で市民1人あたり約25万円で、他の50万人以上の中核市の中では全国で2番目に少ない。
平成24年5月の人口1万人あたりの市職員の数は、66.8人。50万以上の中核市の中では全国2番目に少ない。
■宇都宮市の今後の課題
宇都宮の今後の課題について。普段に行財政改革を続けつつ、企業が設備投資を行うのと同様に、新たな投資を進めていく。
企業でも売り上げを上げようと思ったときには、ラインを増やして生産を増加させたり、新商品を開発して販路を拡大していく。
宇都宮市も同様に、教育、環境、高齢化社会対応、危機管理など「安全で安心なまちづくり」のために投資を行っていく。
限りある財政の中で、まちづくりは選択と集中が重要で、ネットワーク型コンパクトシティの形成が重要。
宇都宮は416平方kmあるが、全部を開発するのではなく、既に人が住んでいる地域に投資を集約していく。
市内各地に日常生活に困らないコミュニティをそれぞれ集約し、コミュニティ内は地域内交通で移動しやすくする。
他のコミュニティには幹線軸となる公共交通を整備して、相互の行き来を便利にしていく。
■「SMAPなまち」
SMAPのように、宇都宮の各地域がそれぞれ機能しつつ、まとまっても輝くまちづくりが重要。
SMAPのメンバーが単独でもグループでも輝いているように、宇都宮の各コミュニティも、それぞれが単独でも輝きつつ、他のコミュニティと連携することでさらに輝きを増していく。
■7つのビジョン
市長が掲げる「7つのビジョン」。
(1)都市機能を大きく前進、安心・安全の住み良さを
(2)都市農業は今後も産業の柱、食文化・健康、自然環境の礎
(3)健康寿命を伸ばし、自律した生活と老後の安心を
(4)地域内交通・バス路線・LRTによる公共交通が網羅された街作りへ
(5)人間力向上で人が輝く、子どもが伸びやかに育つ
(6)仕事を増やす、新事業を育てる、収入の向上で生活の安定を!
(7)街が面白い、街歩きが楽しい!
■最重要ビジョンは「地域内交通・バス路線・LRTによる公共交通」
栃木県はクルマ社会で、自動車普及率は全国1位の97.8%。
しかし、いつまでもクルマ頼りでいいのか。
クルマが便利なのは当然だし、今後もクルマ利用に配慮した施策は行うが、従来手薄だった公共交通の拡充を今後は重視し、2本柱でやっていく。
従来の宇都宮にとっての弱点だった東西基幹ルートにLRTを整備して、南北方向の鉄道と結節するほか、現状ではJR宇都宮駅に集中しているバスの再編を進めていく。
「魚の骨ネットワーク」。
背骨にあたる部分をLRTとし、小骨の区間をバスが担当する。
■先進事例・富山のレポート
LRTについて、富山市の現状をレポート。
富山市は人口42万人。中核都市の指定を受けている。 富山駅前に「ポートラム」が発着。オシャレな車両。大人200円の均一運賃。ICカード利用だと170円。15分おきのパターンダイヤで、待たずに乗れる。
既存の地方路線を活用し、中心市街地では新たに道路に軌道を設置。ホームと車両の段差がなく、車内もフラット。加速が滑らか、窓が大きくて開放感がある。電停ではフィーダーバスに短距離でスムーズに乗り換え可能。電停は駐輪場が完備し、緩やかなスロープで乗車可。
富山の「ポートラム」は日中でも利用が多く、周辺道路が渋滞するし、時間通りに走り運転本数も多いのLRTが便利との声多数。
富山市におけるLRT導入は、コンパクトシティ実現のための手段だった。
■富山市役所でのインタビュー
富山は平坦な地形、クルマが多く道路整備率が高く、市街地が拡散したことなど、宇都宮と共通項が多い。
クルマ保有率が高く、一戸建て志向が強いため、市街地が拡散してしまった。
富山のコンパクトシティの考え方は、市の中心に市街地を集約するのではなく、「お団子と串」の都市構造。
既存の駅周辺やバス停周辺を「お団子」として、「串」となる鉄道やLRT、バスなど、便利な公共交通でつなげていく。
富山市は県庁所在地の中で中心市街地の人口密度が最も低い都市になってしまった。
中心市街地の衰退、クルマを使えない人に住みにくい街になってしまった。
今後労働者の人口が減少して税収が減ると、富山市の財政力が低下する懸念が強い。
市街地が拡散すると、ゴミの収集や下水道の維持管理など、行政コストがかさんでくる。行政コストは税金でまかわれるため、行政コストが増大すれば、その分住民へのサービス水準が低下してしまう。
また、中心部の衰退、人口の拡散、公共交通の衰退は、将来的にもっと深刻になっていくことが予想される。
そのため、コンパクトシティと集約型のまちづくりが必要だった。
■都市部に住んでもらうために
富山市では「誘導的施策」として
(1)公共交通の活性化
(2)中心市街地の活性化
(3)居住推進の補助事業
を実施。
(3)の補助事業は、中心市街地で一戸建てを建設したりマンションを購入すると、最大50万円を補助するというもの。特に公共交通沿線については、郊外から公共交通沿線に移住するとさらに10万円上乗せ補助を出すなど、「お団子」への誘導を進めている。
誘導的施策の一つとして導入したLRTは、JR時代に比べて運転本数を数倍に増やしサービスレベルを向上させた結果、利用者が倍増。
JR時代は2200人→LRT転換後は4800人に。
高齢者の移動が活発化した。まちづくりと福祉の一体化。
高齢者はLRTができて外出する機会が増えた。
従来は外出を控えていた高齢者が積極的に外出するようになるなど、公共交通の充実が結果的に福祉にも役立っている。
■LRT沿線でない市民も高評価
「ポートラム」の沿線ではない市の南部の住民も、「ポートラム」整備が「良かった」と評価。
おそらく、次は自分の地域の公共交通が活性化するとの期待感がある。
街の都市基盤としてLRT整備・維持を行っていくという富山市の強い思いが理解された。
富山市では住民がLRTの価値を認識し、今後のまちづくりに必要不可欠なものだと理解している。
地元企業がスポンサーになって電停にデザイン壁を設けたり、企業や個人が出資したベンチが出資者のプレート付きで設置されている。
プレートの一つには、こんな文言が。
「LRTは街を楽しくします」
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性別:
男性
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「下館レイル倶楽部」は、鉄道の街・下館(茨城県筑西市)を中心に活動する鉄道&鉄道模型の趣味団体です。
しもだて地域交流センター「アルテリオ」で鉄道模型の運転会を毎月開催するほか、各種イベントの見学・撮影なども実施しています。
公共交通の上手な利活用や、鉄道など公共交通を活かしたまちづくりなどの情報発信も行います!
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